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ルーブリックの項で、作業の痕跡（流れ）を残していましたが、混乱を避けるため削除しました。
前項までで抽出した、小中高１２年間の『ＩＣＴに関
連する学習活動の記述』に相応しい具体的な学習内容を
対応させ、それを評価規準表としてまとめた。
表の作成にあたり、はじめに具体的な学習内容を校種
毎に８つの区分に整理した。この８つの区分は、新旧い
ずれの学習指導要領でも情報教育の目標として位置づけ
られている３観点の定義を根拠としたもので、以下のと
おりである。
観点「情報活用の実践力」から
� 峅歛蠅簗榲�に応じて情報手段を適切に活用する」
�◆崗霾鵑鮗臑療�に収集・判断・表現・処理・創造す
る」
��「受け手の状況などを踏まえて発信・伝達できる」
観点「情報の科学的な理解」から
�ぁ崗霾鶻萢僂隆霑辰箸覆訃霾鷦蠱覆瞭胆�の理解」
�ァ崗霾鵑鯏�切に扱ったり、自らの情報活用を評価・
改善するための基礎的な理論や方法の理解」
観点「情報社会に参画する態度」から
�Α崋匆饑験茲涼罎脳霾鵑箴霾鶺蚕僂�果たしている役
割や及ぼしている影響を理解する」
�А崗霾鵐皀薀襪良�要性や情報に対する責任について
考える」
�─嵋召泙靴ぞ霾鷦匆颪料和い忙臆茲靴茲Δ箸垢訛崚戞�
表には、各区分の学習内容を含んている教科名も記入し
た。なお、小学校は６年間と長いことや、学年の違いに
よる児童の発達差も大きいことから、低学年（１、２年
生）、中学年（３，４年生）、高学年（５、６年生）に
３分割した。
これら整理された具体的な学習内容を、さらに、評価
の４観点で展開整理したものが、表５−１−１である。
１ ８つの区分からみる
小中高を一つの表にまとめたことで、８つの区分への
力点の置き方の校種による差や、８つの区分それぞれが
どの校種で多く取り扱われるのか、などを簡単に読み取
ることができるようになる。例をいくつか挙げる。
� ．皀薀襪砲弔い討粒惱�内容は全ての学校種にあり、
どの校種でも学習内容が多く、対象とする教科数も
多い、さらにその内容が学年を追う毎に高度になる
スパイラル構造であることがわかる。このことから、
今回の改訂では、モラルについての学習を最重要と
位置づけていることが（表をみるだけで）解る。
�◆‐�学校では、低学年から高学年までをとおして
「受け手の状況などを踏まえた発信・伝達」に関わ
る学習内容が多く、かつその内容が学年を追う毎に
高度になるスパイラル構造であることが読み取れる。
このことから、小学校で育成されるべき情報活用能
力として重視されているもののひとつがコミュニケ
ーション能力であることが（表を見るだけで）解る。
２ 評価の４観点から見る
評価の４観点毎にその数や小中高１２年間での配置の
様子を表から知ることができる。
�。幹囘世里Δ繊◆愧亮院ν�解』に分類される学習活
動は、小中高での偏りはなくまんべんなく配置され
ている。このことから、児童・生徒の発達段階に合
わせて無理なく配置されていることが（表を見るだ
けで）解る。
�■幹囘世里Δ繊◆惶伺宗戮吠�類される学習活動は、
学年があがるにつれてその数が減っており、高等学
校では極端に少ない。このことから、技能について
は中学校卒業までに身に付けさせるべき情報活用能
力とされていることが（表を見るだけで）解る。
また、小学校では児童の身の回りの範囲での学習
活動がほとんどであったものが、中学校からは、ネ
ットワークを利用してその範囲を飛躍的に拡大する
かたちになっている。
��４観点のうち、『思考・判断表現』に分類される学
習活動は、どの校種でも数が多く、同様な学習活動
が学年を追う毎に高度になるスパイラル構造である。
他校種の学習活動の内容をこの表で押さえておくこ
とにより、スパイラル構造を持つ学習活動の小中高
の接続を良くすることができる。
�ぃ幹囘世里Δ繊◆愆愎粥Π嬪漾β崚戞戮吠�類される学
習活動は、小学校で最も数が多く、中学校以上の
校種では極端にその数が減っている。このことから、
モラルを含めた学習活動は、年齢の低いうちに身に
付けさせることを狙っていることが（表を見るだ
けで）解る。
さらに、評価の４観点を発達段階の指標として見れば、
各々の学習活動がどの発達段階での習得を求めているの
かをも知ることが出来る。例を挙げる。
�ァ 崗霾鶻萢僂亮汰�力」に属する３区分の学習活動
のうち、プレゼンテーションに関わるものを見ると、
低学年では、『知識・理解』『技能』に分類される
ものの方が多いが、学年が上がるにつれて『思考・
判断・表現』『関心・意欲・態度』に分類されるも
のの方が多くなっている。このとから、プレゼンテ
ーションについては、小学校段階で一度完成をする
ことになるのが（表を見るだけで）解る。
以上のように、この表を活用すれば、ある学習内容が
どの学年に含まれ、評価の４観点のどこに分類されるも
のであるかを（表を見るだけで）知ることができる。そ
してそれらを小中高１２年間を通して眺めることができ
る。表５−１−１を活用すれば、実際の授業等において、
育成されるべき情報活用能力のどの位置の、どのレベル
の学習活動をすれば良いかということが解るのである。
今回の改訂で、児童・生徒の発達段階に合わせた情報
教育に関わる学習内容が全ての教科に多く盛り込まれた
ことにより、学習させる側の育成されるべき情報活用能
力についての理解が今まで以上に要求されることになっ
た。
各校種において学習させる側が、小中高12年間で育成
されるべき情報活用能力の全体像を把握、理解したうえ
で学習活動を行わなければ、小中高12年にわたる情報教
育に大きな欠損を生む危険性がある。
小中高１２年間の学習内容を評価の４観点での展開整
理したこの表を活用すれば、小中高、各々の学校におい
て「児童・生徒にいまの段階でどのような事柄について
身に付けさせなければならないのか」を捉えやすくなる。
今回のこの表は高等学校の教諭からの一方的な物の見方
考え方に基づいてで作成・考察を加えた物であるため、
より現実的で有意義なものにするために、各校種の協力
連携が必要とされる。今後は各校種の立場からの意見も
取り入れてさらに使いやすくより完成された表にして、
さらに研究を進めていきたい。
ところで、平成22年7月6日に通産省が公表した、平成
22年「情報通信に関する現状報告」では、平成21年末に
おける6歳から12歳までの子ども達の個人でのインター
ネット利用率は、およそ７０％に達していると報告して
いる。この現実を踏まえれば、４観点「技能」で、中学
校になってから多くあらわれるネットワークを利用す
るための学習活動は、小学校での学習項目に加えるのが
妥当だと考えられる。
また、北海道教育委員会発行の２０１０年度版北海道
の教育によれば、へき地級地の小学校が全体のおよそ、
４０％（中学校もほぼ同じ）であり、学級数が３学級以
の小学校の割合は１８％になっている。
もし、これらの学校に通う児童・生徒の家庭での情報
機器やネットワークの利用、またその地区の情報インフ
ラ整備などに遅れがあったとしたなら、情報教育に関わ
る学習内容の学校での展開が極めて重要になる。情報教
育に関わる学習内容の盛り込まれる範囲や量が大きくな
ればなるほど、ディジタルデバイドを拡大する結果にな
ることを意味するからである。事実、本章執筆担当の勤
務校では、未だブロードバンドサービスの提供が無い地
区から通っている生徒が多数存在する。さらに、もし、
小中学校での情報インフラ整備などに遅れがあったとし
たならそれはその地区の子ども達にとって、危機的状況
である。
いま現在も、中学校間における情報活用能力の習得レ
ベルには差があり、授業のなかでそれらを吸収するよう
な手当を必要としている。
私たち学習をさせる側は、北海道特有のこのような
現状を十分に理解する必要がある。そのうえで、各地域
での現状に合った小学校から高等学校までの情報教育に
関わる学習内容の検討などを、校種の枠を超えてお互い
連絡を取り合い、協力をしながら行うことが必要になの
ではないだろうか。
流れ
| （項目） | 知識・理解 | 技能 | 思考・判断・表現 | 関心・意欲・態度 | ||
| 小学校 | 低学年 | �� | A | F | K | P |
| 中学年 | �� | B | G | L | Q | |
| 高学年 | �� | C | H | M | R | |
| 中学校 | �� | D | I | N | S | |
| 高等学校 | �� | E | J | O | T |
