『問題解決』学習に関するアンケート(調査結果)

北海道高等学校教育研究会情報部会 研究紀要ワーキンググループ

趣旨
 『問題解決』学習は旧学習指導要領、新学習指導要領双方においても大きく取り上げられています。
しかし、『問題解決』に関する学習活動とは何を指しており、授業において何を行うべきなのか、これらは具体的になっているとはいえないのが現状です。
教科「情報」において、身につけるべき『問題解決』を具体的な学習活動として体系化することができるのではないか。
 このようなテーマを今回、高教研情報部会として研究紀要にまとめるべく、ワーキンググループを発足しました。
 まず、情報科で行っている『問題解決』に関する具体的な学習活動の事例を各校の授業実践や教材から収集したいと考え、本調査を行いました。

webアンケート担当者より
 最終的に99校から回答を得ることが出来ました。多くの先生のご協力に大変感謝いたします。メールを出した総数が300強ですので、約1/3の学校から回答を得たことになります。アンケート内容を取りまとめました。大変興味深い内容となっていますので、是非ご一読ください。
 今回の反省点として、職業学科において科目代替で実施している「情報」についてアンケートへの配慮がなかったこと、情報ABCを複数実施している学校について回答がしづらかったこと等、ご指摘を頂きました。これらは今後に生かしていきたいと考えています。その他にもご意見がございましたら、高教研情報部会 研究紀要担当 鶴間 伸一 neo_turuq@yahoo.co.jp までご連絡ください。
 高教研情報部会では今後も様々な調査を実施することが考えられます。引き続きご協力をお願いいたします。


1. 支庁別回答校数について
石狩 33
渡島 9
檜山 0
後志 5
空知 9
上川 9
留萌 1
宗谷 1
網走 10
胆振 8
日高 3
十勝 7
釧路 3
根室 1
2. 選択している科目(必履修科目・選択科目)について

情報A (49) 49.5%
 
情報B (3) 3.0%
 
情報C (25) 25.3%
 
情報AB (4) 4.0%
 
情報BC (1) 1.0%
 
情報AC (12) 12.1%
 
情報ABC
(5) 5.1%
 
3. あなたの情報科の授業には、『問題解決』の要素が取り入れられていますか?

取り入れている(27) 27.3%
 
意識してはいなかったが、結果的に取り入れられている
(24) 24.2%
 
意識はしていたが、結果的に取り入れられていない(25) 25.3%
 
取り入れていない
(23) 23.2%
 
合計(99) 100.0%
 
4. 【取り入れていると回答した方にお聞きします】
『問題解決』に関する学習活動を取り入れた授業について、右に挙げられているキーワードの中で授業内容にあてはまるものをあげてください。
ここに挙げた以外のキーワードにあてはまる場合、その他にご記入ください。


習得 (21) 21.0%
 
活用 (34) 34.0%
 
探求
(20) 20.0%
 
収集 (36) 36.0%
 
応用 (13) 13.0%
 
調査
(26) 26.0%
 
自動化 (4) 4.0%
 
統計 (10) 10.0%
 
シミュレーション
(10) 10.0%
 
分析 (21) 21.0%
 
共有 (9) 9.0%
 
検証
(11) 11.0%
 
実証 (4) 4.0%
 
計算 (9) 9.0%
 
その他(アルゴリズムで問題解決の順序を考える) (1) 1.0%
 
その他(モデル化) (1) 1.0%
 
その他(発表(プレゼンテーション)) (1) 1.0%
 
その他(編集) (1) 1.0%
 
5. 『問題解決』に関する学習活動を取り入れた授業の概要について
(簡単に内容をご説明いただくか、内容がわかるようなタイトルを教えてください。)


回答数 レスポンス
1 NASAゲームを体験して 問題解決とはどのようなものかを理解する
1 アルゴリズムとプログラミング
1 アルゴリズム・フローチャート、駐車場のモデル化とシミュレーション(教員免許講習で習った内容)、ブレーンストーミング
1 インターネット検索課題
1 クラスの携帯電話の活用方法を調査し、エクセルで分析グラフ化し、パワーポイントで発表原稿を作る。
1 グループと個人を融合させた情報収集の授業(※第一学習社に寄稿)
1 グループによるビデオクリップ(ふるさと紹介CM)作成
1 サイエンスパートナーシッププロジェクト(北大との高大連携授業)講座型学習活動のプレゼンテーション制作
1 スパムメールについてその目的、手法などについて理解を深めるために、自ら製作する。
1 ネットワークを活用した情報の収集・発信
1 ブレーンストーミングとKJ法について簡単に説明し、生徒に実習させています。
1 ブレーンストーミング・KJ法の説明
1 プレゼンテーション、広告作成などの準備のために、インターネットで情報を収集
1 プレゼンテーション、表計算ソフトの活用
1 全国都道府県公共機関調査(主に博物館・美術館)
1 動画のしくみ
1 北海道の自分の住む地域or自分の高校についてプレゼンテーションしよう
1 単元のポイントとなる事柄について、実習にて基礎的・基本的な学習をした後、誤りのある問題を提供し、なぜ正しい答えが得られないのか原因を考えさせる授業を実施している。
1 地球温暖化、私の進路、BAISIC言語による計算、EXCELによる表計算など
1 情報の信憑性を探ろう
1 情報モラルに関わる学習。
1 意識していなかったが、エクセルを使って見やすい報告書の作成などを行っていたことが結果として問題解決になっていたのではと思う。
1 掲示板によるディスカッション
1 携帯電話の利用者数の推移やメーカー別のシェア比較など表計算ソフトの利用時に取り入れている。
1 教科書にも問題解決についての記載があるため
1 新書の内容に対して仮説を立て、情報収集して仮説を検証する(レポート形式)
1 旅行計画の策定、HP調査・作成、暗号化
1 時事問題のテーマに対しての収集・活用・分析等
1 来年、実際に実施される見学旅行自主研修の机上旅行(実際の公共交通機関などを全て調べさせる)
1 検 索エンジンによる検索サイト学習、文字化けを解決する文字コード探求、16進数と画像フォーマット、問題解決における図によるモデル化、アルゴリズムと手 続きの自動化、Wikiによる協調的な問題解決、メディア調査による統計的仮説検証、ロジカル・クリティカルシンキング、など
1 様々な情報機器や表計算ソフト等の機能を使う、使わないの両方の条件で問題解決を行わせる
1 海外旅行の計画立案
1 用途に応じたホームページ等の作成
1 管内の各自治体について調査、分析し、新キャッチフレーズを提案させる
1 自らテーマを決めネットで情報を収集・整理・分析しそれを発表する
1 自分についての自己紹介。
1 自己紹介・ライフプラン発表のためのプレゼンテーション作成
1 表計算、プレゼンテーション
1 表計算検定において関数を使えるようにする
1 見学旅行の情報収集、JavaScriptのデバッグやプログラムの流れ
1 見学旅行研修計画
1 見学旅行自主研修発表、町政への提言(いずれも総合学習とのタイアップ)
1 見学旅行自主研修計画
1 身近な問題の解決へ向けてのプレゼンテーション
1 週間予定表の作成とテスト1週間前のパターンへの修正。
1 電子コイン実験
1 KJ法・マインドマップなど、ナレッジマネジメントを取り入れています。
1 Webメールを活用した簡単なインターネットモラル調査報告レポート
6. 『問題解決』に関する学習活動を授業に取り入れている理由を簡単にお答えください。

回答数 レスポンス
1 さまざまなツールを用いて、自力で問題を解決することが重要と認識しているから。
1 グループでの問題解決能力の不足を意識させるため
1 テーマを生徒自身で決定し、発表する経験を積むため
1 プレゼンテーションの「ネタ」として
1 プレゼンテーションの練習のため、情報収集から分析、発表までグループ活動させている。
1 人間の手で行うより効率が良いか等、体験的に認識させるため
1 今回だけではなく、ほかの事柄について水から考え、問題の発見・問題の解決をしていけるようにしたいので。
1 何のために情報という観点を持つかというと、問題(課題)解決、それがすべてだから。
1 具体的な技法を体験させることで、情報を扱うということを考えさせたいから。
1 収集した情報を多面的に捉え、必要な情報を判断し、活用する能力が求められていると考えるため
1 問題を解決するため情報を収集・整理することが情報の授業本来の目的のような気がします。
1 学習指導要領
1 実習をより効果的にするため
1 応用力や臨機応変に対応する能力を身に付けさせるため
1 情報で学習したことを総合的に生かすのに最適だから
1 情報とは意思決定のためのものであり、意思決定するのは問題解決のためと考え、情報の授業で問題解決について取り入れる必要があると思うから
1 情報の収集と整理・発表力の向上のため行っています。
1 情報の収集・処理・発信の過程で「問題解決」必須のものだから。
1 情報を学習する意味の根幹となるものだから
1 情報を応用して生活に組み入れることの重要性を認識させる
1 情報処理に必要不可欠な活動であるから
1 情報収集を題材にしているので結果的に問題解決にもつながっていく
1 情報活用能力と関連するから
1 意識していなかったので取り入れている理由というのが特段浮かばない。
1 掲示板利用の体験にもなるから
1 教科書にも問題解決についての記載があることと、教科目標達成のための有効的方法であるから
1 教科書の内容に沿った授業展開を意識しています。
1 教科書よりも身近な具体的な活用をはかり、興味・関心を高めるため。
1 数学と実験確率を確かめるため
1 日常生活で問題=テストの問題というだけで意識している生徒が多く、日常生活での”本当の問題”とはいったい何なのかということを意識させる必要があるため。
1 特に意識せず、各単元にそった授業展開
1 生徒が、情報の影の部分での被害者にも加害者にもならないようにしたいため。
1 生徒が主体的に学習活動に参加できるようにするため
1 生徒に考えさせるため
1 生徒に課題を出し、その課題についてグループワークで答え導く
1 生徒の状況は、与えられた課題をそのまま同じように作ることにはなれてきている。そういった作業を得意とする生徒は沢山いるが、自分で何かを作ったりするために考える力には乏しい状況であるため。
1 生徒の発想力を確かめるため
1 答えは検索してもすぐには見つからないから自分の頭で考えて、試行錯誤しながら結論に到達しなければならず考える訓練になる。また、苦労した分結果が出たときには喜びも大きい。
1 答えを導き出すまでの過程を大切にしたい。
1 習得した知識の総合化のため
1 自ら学び考え行動できるようにするため
1 自分で考え他の生徒と議論し実践する大切さ。他の考えとの比較検証。
1 自分とはどんな人間なのかを考えさせる。また、発表する場を設ける。
1 自分自身で目標(旅行先など)を設定し実現に向けて必要なことを考える。
1 課題を自分で調べ、考え、形にする学習はその過程と結果において習得できるものが大きい。
1 課題解決が科目の目標のひとつであるから
1 身近なデーターを用いることによりより興味関心が湧くと思っているため。
1 進学及び社会に出てからの情報処理技術の育成
1 PCの使用方法をできるだけ多くしたい。演習を通して生徒の興味を持たせたい。
7. 『問題解決』に関する学習活動を取り入れた授業について
どのような場所で行っているか当てはまるものをお選び下さい。


普通教室 (16) 16.0%
 
コンピュータ教室 (49) 49.0%
 
その他(家庭) (1) 1.0%
 
その他(町や観光スポット) (1) 1.0%
 
8. 『問題解決』に関する学習活動を取り入れた授業について
学習活動の形態の当てはまるものをお選び下さい。


講義 (18) 18.0%
 
実習(コンピュータを利用)
(48) 48.0%
 
実習(コンピュータを利用しない) (9) 9.0%
 
その他(調査) (1) 1.0%
 
その他(Webメールを扱うため調査については個人で宿題としても可能。) (1) 1.0%
 
9. 【取り入れていないと回答した方にお聞きします】
『問題解決』に関する学習活動を取り入れていない主な理由をお答えください。

必要性を感じない (1) 1.0%
 
何をして良いかわからない
(8) 8.0%
 
実施している授業が「問題解決」に該当しているかどうかわからない
(14) 14.0%
 
実施している授業に「問題解決」に該当しているものがない
(16) 16.0%
 
その他(3) (1) 1.0%
 
その他(「問題解決」に関する学習内容を検討中) (1) 1.0%
 
その他(そこまでのレベルに達していない) (1) 1.0%
 
その他(今年度から初めて情報Aを担当することになり、問題解決学習をどのように取り入れるか悩んでいる最中だったので、このようなプロジェクトがあると知って明るい兆しが見えてきました。) (1) 1.0%
 
その他(実施時間数の関係上、「問題解決」が強く反映される教材を、年度当初の段階で、計画していない。) (1) 1.0%
 
その他(授業時数と教員が不足) (1) 1.0%
 
その他(本校の現状として、授業の中で問題解決を考えさせる場面の設定が難しい) (1) 1.0%
 
その他(生徒のニーズに即さない。) (1) 1.0%
 
合計 (47) 47.5%