小学校学習指導要領解説 算数編 平成 20 年6月 文部科学省 --1/63-- 目次 第1章 総説……………………………… ………………………………… 1 1 改訂の経緯……………………… ………………………………… 1 2 算数科改訂の基本方針………… ………………………………… 4 3 算数科改訂の要点……………… ………………………………… 9 第2章 算数科の目標及び内容………… ………………………………… 20 第1節 算数科の目標………………… ………………………………… 20 1 教科の目標……………………… ………………………………… 20 2 学年の目標……………………… ………………………………… 26 第2節 算数科の内容………………… ………………………………… 32 1 内容構成の考え方……………… ………………………………… 32 2 各領域の内容の概観…………… ………………………………… 32 A 数と計算………………………………………………………… 32 B 量と測定………………………………………………………… 39 C 図形……………………………………………………………… 46 D 数量関係………………………………………………………… 53 第3章 各学年の内容…………………… ………………………………… 61 1 第1学年の内容………………… ………………………………… 61 2 第2学年の内容………………… ………………………………… 79 3 第3学年の内容………………… ………………………………… 101 4 第4学年の内容………………… ………………………………… 132 5 第5学年の内容………………… ………………………………… 163 6 第6学年の内容………………… ………………………………… 192 --2/63-- 第4章 指導計画の作成と内容の取扱い ………………………………… 214 1 指導計画作成上の配慮事項…… ………………………………… 214 2 内容の取扱いについての配慮事 項……………………………… 218 --3/63-- -1- 第1章 総説 1 改訂の経緯 21 世紀は,新しい知識・情報・技術 が政治・経済・文化をはじめ社会のあらゆ る領域での活動の基盤として飛躍的に重要性を増す,いわゆる「知識基盤社会」の 時代であると言われている。このような知識基盤社会化やグローバル化は,アイデ ィアなど知識そのものや人材をめぐる国際競争を加速させる一方で,異なる文化や 文明との共存や国際協力の必要性を増大させている。このような状況において,確 かな学力,豊かな心,健やかな体の調和を重視する「生きる力」をはぐくむことが ますます重要になっている。 他方,OECD(経済協力開発機構)のPISA調査など各種の調査からは,我 が国の児童生徒については,例えば, @ 思考力・判断力・表現力等を問う読解力や記述式問題,知識・技能を活用す る問題に課題, A 読解力で成績分布の分散が拡大しており,その背景には家庭での学習時間な どの学習意欲,学習習慣 ・生活習慣に課題, B 自分への自信の欠如や自らの将来 への不安,体力の低下といった課題, が見られるところである。 このため,平成 17 年2月には,文部科学大臣から, 21 世紀を生きる子どもたち の教育の充実を図るため, 教員の資質・能力の向上や 教育条件の整備などと併せて, 国の教育課程の基準全体の見直しについて検討するよう,中央教育審議会に対して 要請があり,同年4月から審議を開始した。この間,教育基本法改正,学校教育法 改正が行われ,知・徳・体のバランス(教育基本法第2条第1号)とともに,基礎 的・基本的な知識・技能,思考力・判断力・表現力等及び学習意欲を重視し(学校 教育法第 30 条第2項) ,学校教育においてはこれらを 調和的にはぐくむことが必要 --4/63-- -2- である旨が法律上規定されたところである。中央教育審議会においては,このよう な教育の根本にさかのぼった法改正 を踏まえた審議が行われ,2年 10 か月にわた る審議の末,平成 20 年1月に「幼稚園,小学校,中学校 ,高等学校及び特別支援 学校の学習指導要領等の改善 について」答申を行った。 この答申においては,上記のよう な児童生徒の課題を踏まえ, @ 改正教育基本法等を踏 まえた学習指導要領改訂 A 「生きる力」という理念の共有 B 基礎的・基本的な知識・技能の習得 C 思考力・判断力・表現力等の育成 D 確かな学力を確立する ために必要な授業時数の確保 E 学習意欲の向上や学習習慣の確立 F 豊かな心や健やかな体 の育成のための指導の充実 を基本的な考え方として,各学校段階や各教科等にわたる学習指導要領の改善の方 向性が示された。 具体的には,@につ いては,教育基本法が約 60年振りに改正され, 21世紀を切 り拓く心豊かでたくましい日本人の育成を目指すという観点から,これからの教育 ひら の新しい理念が定められたことや学校教育法において教育基本法改正を受けて,新 たに義務教育の目標が規定されるとともに,各学校段階の目的・目標規定が改正さ れたことを十分に踏まえた学習指導要領改訂であることを求めた。Bについては, 読み・書き・計算などの基礎的・基本的な知識・技能は,例えば,小学校低・中学 年では体験的な理解や繰り返し学習を重視するなど,発達の段階に応じて徹底して 習得させ,学習の基盤を構築していくことが大切との提言がなされた。この基盤の 上に,Cの思考力・判断力・表現力等をはぐくむために,観察・実験,レポートの 作成,論述など知識・技能の活用を図る学習活動を発達の段階に応じて充実させる とともに,これらの学習活動の基盤となる言語に関する能力の育成のために,小学 校低・中学年の国語科において音読・暗唱,漢字の読み書きなど基本的な力を定着 させた上で,各教科等において,記録,要約,説明,論述といった学習活動に取り 組む必要があると指摘した。また,Fの豊かな心や健やかな体の育成のための指導 --5/63-- -3- の充実については,徳育や体育の充実のほか,国語をはじめとする言語に関する能 力の重視や体験活動の充実により,他者,社会,自然・環境とかかわる中で,これ らとともに生きる自分への自信を持たせ る必要があるとの提言がなされた。 この答申を踏まえ,平成 20年3月 28日に学校教育法施行規則を改正するととも に,幼稚園教育要領,小学校学習指導要領及び中学校学習指導要領を公示した。小 学校学習指導要領は,平成 21年4月1日から移行措置と して算数,理科等を中心 に内容を前倒しして実施するとともに,平成 23年4月1日から全面実施すること としている。 --6/63-- -4- 2 算数科改訂の基本方針 算数科の改訂は,中央教育審議会の答申に示された算数科,数学科の改善の基本方 針を受けて行われた。 ○ 算数科,数学科については,その課 題を踏まえ,小・中・高等学校を通じて, 発達の段階に応じ,算数的活動・数学的活動を一層充実させ,基礎的・基本的 な知識・技能を確実に身に付け,数学的な思考力・表現力を育て,学ぶ意欲を 高めるようにする。 第一の項目は,小学校,中学校,高等学校を通じての算数・数学教育における重要 なねらいについてである。最近までの国内での教育課程実施状況調査や国際的な学力 調査の結果分析によると, 計算などの技能の定着につい ては低下傾向は見られないが, 計算の意味を理解することなどに課題が見られ,また,身に付けた知識や技能を生活 や学習に活用することが十分でないといった状況が見られる。そうした点を改善する ために,以下のような具 体的な方針が示された。 ○ 数量や図形に関する基礎的・基本的な知識・技能は,生活や学習の基盤とな るものである。また,科学技術の進展などの中で,理数教育の国際的な通用性 が一層問われている。このため,数量や図形に関する基礎的・基本的な知識・ 技能の確実な定着を図る観点から,算数・数学の内容の系統性を重視しつつ, 学年間や学校段階間で内容の一部を重複させて,発達や学年の段階に応じた反 復(スパイラル)による教育課程 を編成できるようにする。 第二の項目は,知識・技能の確実な定着のため,発達や学年の段階に応じたスパイ ラルによる教育課程を編成することについてである。算数・数学には内容の系統性や 学習の連続性が明確であるという教科としての特性がある。そうした特性に留意しな --7/63-- -5- がら,学年間などで同じ系統の内容の接続を工夫し,取扱いの程度を少しずつ高めて いくような教育課程を編成できるよう にしようとするものである。 ○ 数学的な思考力・表現力は,合理的,論理的に考えを進めるとともに,互い の知的なコミュニケーションを図るために重要な役割を果たすものである。こ のため,数学的な思考力・表現力を育成するための指導内容や活動を具体的に 示すようにする。 特に, 根拠を明らかにし筋道を立て て体系的に考えることや, 言葉や数,式,図,表,グラフなどの相互の関連を理解し,それらを適切に用 いて問題を解決したり,自分の考えを分かりやすく説明したり,互いに自分の 考えを表現し伝え合ったりするこ となどの指導を充実する。 第三は,数学的な思考力・表現力の育成についてである。算数の学習では,日常の 言語をはじめ,数,式,図,表,グラフなど様々な表現の手段がある。そうした方法 を用いて考えたり,自分の考えを説明・表現したりする学習活動を充実させることが 大切である。 ○ 子どもたちが算数・数学を学ぶ意欲を高めたり,学ぶことの意義や有用性を 実感したりできるようにすること が重要である。そのために, ・ 数量や図形の意味を理解する上で基盤となる素地的な学習活動を取り入れ て,数量や図形の意味を実感的 に理解できるようにすること ・ 発達や学年の段階に応じた反復(スパイラル)による教育課程により,理 解の広がりや深まりなど学習の進歩 が感じられるようにすること ・ 学習し身に付けたものを,日常生活や他教科等の学習,より進んだ算数・ 数学の学習へ活用していくこと を重視する。 第四は,学ぶ意欲を高めることについてである。適切な段階で素地的な学習活動を 取り入れ,数量や図形の意味を実感的に理解できるようにすることや,スパイラルに --8/63-- --8/63-- -6- よる教育課程により,理解の広がりや深まりなど学習の進歩が感じられるようにする こと,身に付けたものを生活や他教科等の学習,より進んだ算数・数学の学習へ活用 することの重視があげられている。 ○ 算数的活動・数学的活動は,基礎的・基本的な知識・技能を確実に身に付け るとともに,数学的な思考力・表現力を高めたり,算数・数学を学ぶことの楽 しさや意義を実感したりするために,重要な役割を果たすものである。算数的 活動・数学的活動を生かした指導を一層充実し,また,言語活動や体験活動を 重視した指導が行われるようにするために,小・中学校では各学年の内容にお いて,算数的活動・数学的活動を具体的に示すようにするとともに,高等学校 では,必履修科目や多くの生徒の選択が見込まれる科目に「課題学習」を位置 付ける。 第五は,算数的活動,数学的活動の一層の充実についてである。算数的活動と数学 的活動という言葉は,平成十年告示の学習指導要領における算数科,数学科の目標の 中で使われるようになったものである。ここでは,算数的活動,数学的活動の意義を 述べるとともに,そうした活動を各学年の内容において示すようにすることを述べて いる。 以上の五項目に続けて,小学校算数科の改善について,答申では次のように述べて いる。 ○ 小学校においては,算数的活動を充実し ,数量や図形について実感的に理 解し豊かな感覚を育てながら,基礎的・基本的な知識・技能を確実に定着させ るとともに,数学的な思考力・表現力を高めることや学んで身に付けた算数を 生活や学習に活用することを重視 して,次のような改善を図る。 (ア) 領域構成については,現行どおり「数と計算」 , 「量と測定」 , 「図形」及び 「数量関係」とする。その際,言葉や数,式,表,グラフなどを用いた思考力 ・表現力を重視するため,低学年から 「数量関係」の領域を設けるようにする。 --9/63-- -7- (イ) 数量や図形についての知識・技能の確実な定着や,数学的な思考力・表現力 の育成を図るため,算数としての系統性を重視しつつ,学年間で指導内容の一 部を重複させる。それによって,指導内容をなだらかに発展させたり,学び直 しの機会を設けたりするなど,発達や学年の段階に応じた反復(スパイラル) による学習指導を進 められるようにする。 (ウ) 算数的活動を今後も一層重視していくため,各学年の内容において,算数的 活動についての記述を位置付けるようにする。その際,小学校と中学校との接 続に配慮する。 例えば,具体物を用いて数量や図形についての意味を理解する活動,知識・ 技能を実際の場面で活用する活動,問題解決の方法を考え説明する活動など, 算数的活動を具体的に示し ていくようにする。 答申ではまた, 算数科の各領域において, 重点を置くべき指導を 明らかにしながら, 改善する内容などについて次の ように述べている。 (エ) 「数と計算」の領域では,整数, 小数,分数の意味と表 し方を理解すること, 数についての感覚を豊かにすること,言葉や数による表現力を育てることを重 視する。また,計算の意味を理解すること,計算の仕方を考えること,計算に 習熟し活用することの三者をしっ かり指導することを一層重視する。 例えば,低学年で,分数の意味を理解する上で基盤となる素地的な学習活動 を行う(例:紙を二つに折っ て1/2をつくる) 。発達や学年の段階に応じた 反復(スパイラル)による教育課程により,低学年・中学年では整数の計算能 力を確実に身に付け,中学年・高学年では小数,分数の計算能力をなだらかに 発展させるように改善する。また,中学年で,計算の見積りを指導し,計算の 仕方や結果について見通しをもったり,適切に判断したりできるようにする。 (オ) 「量と測定」の領域では,様々な量の単位と測定について理解すること,量 の大きさについての感覚を豊かにする こと,面積の求め方などを自分で考えた り説明したりすることを重視する。 --10/63-- -8- 例えば,低学年で,具体物の長さ,広さなどの量の大きさを直接に比較する 内容を指導する。中学年・高学年で,量の単位の関係を調べたりまとめたりす る内容を指導する。また,高学年で,既習の面積の求め方を活用してひし形や 台形の面積の求め方を考え 説明する内容を指導する。 (カ) 「図形」の領域では,図形の意味と性質について理解すること,図形につい ての感覚を豊かにすること,図形の見方を生活や学習に活用できるようにする ことを重視する。 例えば,低学年から高学年にわたって,様々な図形をかいたり,作ったり, 敷き詰めたり,形や大きさを比べたりする内容を指導するとともに,平面図形 と立体図形の両者をバランスよく指導する。また,高学年で,図形の合同や拡 大図・縮図などの内容を指導する。 (キ) 「数量関係」の領域では,数量についての事柄を,言葉や数,式,表,グラ フなどによって表現すること,二つの数量の間の変化や対応を調べるなど関数 の考えを育てることを重視する。 例えば,低学年においても,簡単な表やグラフを用いて,身の回りに起こる 事柄や場合を調べたり表したりする内容を指導する。中学年・高学年では,□ や文字を用いた式を指導する。また,高学年で,比例と反比例の内容の指導を 充実する。 --11/63-- -9- 3 算数科改訂の要点 (1) 教科の目標 教科の目標は次の通りである。 算数的活動を通して,数量や図形についての基礎的・基本的な知識及び技能 を身に付け,日常の事象について見通しをもち筋道を立てて考え,表現する能 力を育てるとともに,算数的活動の楽しさや数理的な処理のよさに気付き,進 んで生活や学習に活用しよ うとする態度を育てる。 @「算数的活動を通して」 今回の改訂では, 「算数的活動を通して」と いう文言を目標のはじめに位置付けて いる。この部分が目標の全体にかかっているという基本的な構造については,これま での学習指導要領におけ る目標と同様である。 算数的活動とは,児童が目的意識をもって主体的に取り組む算数にかかわりのある 様々な活動を意味している。 算数的活動には,様々な活動が含まれ得るものであり,作業的・体験的な活動など 身体を使ったり,具体物を用いたりする活動を主とするものがあげられることが多い が,そうした活動に限られるものではない。算数に関する課題について考えたり,算 数の知識をもとに発展的・応用的に考えたりする活動や,考えたことなどを表現した り,説明したりする活動は,具体物などを用いた活動でないとしても算数的活動に含 まれる。 A「見通しをもち筋道を立てて考え ,表現する能力を育てる」 今回の改訂では, 「見通しをもち筋道を立て て考え,表現する能力を育てる」とい うように, 「表現する(能力) 」の文言を加えて示している。考える能力と表現する 能力とは互いに補完しあう関係にあるといえる。考えを表現する過程で,自分のよい 点に気付いたり, 誤りに気付いたりすることがあるし, 自分の考えを表現することで, --12/63-- -10- 筋道を立てて考えを進めたり,よりよい考えを作ったりできるようになる。授業の中 では,様々な考えを出し合い,お互いに学び合っていくことができるようになる。そ うした考えから, 目標において考える能力と表現す る能力とを並べて示すこととした。 B「進んで生活や学習に活用し ようとする態度を育てる」 今回の改訂では,算数の授業の中で,基礎的・基本的な知識及び技能を確実に身に 付けることと, 身に付けた知識及び技能を 活用していくことを重視している。 算数は, 生活や学習の様々な場面で活用することができる。他教科等の学習はもとより,これ から先の算数や数学の学習にも活用していくことができる。今回の改訂では, 「進ん で生活や学習に活用しようとする態度を育てる」というように, 「学習」の文言を加 え, 「生かそうとする」を「活用しようとする」と示すようにして,そうした面をよ り重視している。 (2) 各学年の目標及び内容 @ 目標及び内容の示し方 算数科では,各学年ごとに目標と内容を示している。各学年では,次のような順で 示している。 1目標 2内容 A 数と計算 B 量と測定 C図形 D 数量関係 〔算数的活動〕 〔用語・記号〕 3 内容の取扱い 各学年で指導する算数の内容は, 「A数と計算」 , 「B量と測定」 , 「C図形」及び 「D数量関係」の4領域に分けて示している。これは,算数の内容の全体を見やすく し,内容の系統性や発展性を分 かりやすくするためである。 今回の改訂では,低学年においても「D数量関係」の領域を設けることとした。こ --13/63-- --13/63-- -11- れによって,第1学年から第6 学年までにわたって, 「A数と計算」 , 「B量と測定」 , 「C図形」及び「D数量関係」の4領 域ごとの内容が示されている。 さらに今回の改訂では,各学年において,4領域の内容に続けて〔算数的活動〕の 内容を示すこととした。 小学校算数科の内容の構成について,学年別,領域別の概略を図1( 16,17ペー ジ)で示している。中学校数学科の内容の構成についても,図2( 18,19ページ) で示している。 A 算数的活動 前述したように,算数的活動とは,児童が目的意識をもって主体的に取り組む算数 にかかわりのある様々な 活動を意味している。 ここで「目的意識をもって主体的に取り組む」とは,新たな性質や考え方を見いだ そうとしたり,具体的な課題を解決しようとしたりすることである。算数的活動を通 して,数量や図形の意味を実感をもってとらえたり,思考力,判断力,表現力等を高 めたりできるようにするとともに,算数を学ぶことの楽しさや意義を実感できるよう にするためには,児童が目的意識をもって主体的に取り組む活動となるように指導す る必要がある。その意味で,例えば,教師の説明を一方的に聞くだけの学習や,単な る計算練習を行うだけの学習は ,算数的活動には含まれない。 算数的活動には,様々な活動が含まれ得るものであり,作業的・体験的な活動など 身体を使ったり,具体物を用いたりする活動を主とするものがあげられることが多い が,そうした活動に限られるものではない。算数に関する課題について考えたり,算 数の知識をもとに発展的・応用的に考えたりする活動や,考えたことなどを表現した り,説明したりする活動は,具体物などを用いた活動でないとしても算数的活動に含 まれる。 今回の改訂では,授業における算数的活動の在り方を明確にし,算数的活動の一層 の充実を図るために,各学年の内容において具体的な算数的活動を示すこととした。 各学年の〔算数的活動〕では,はじ めに次のように述べている。 ( 1 ) 内容の「A数と計算」 , 「B量と測定」 , 「C図形」及び「D数量関係」に示 --14/63-- -12- す事項については,例えば,次のような算数的活動を通して指導するものとす る。 これは,各領域に示すすべての事項において,算数的活動を通した指導を行う必要 があるということである。ただし,その指導の過程において,必要に応じて教師が説 明をしたり,計算練習を行う場面を設けたりすることは,当然あり得るものであり, そのことを否定するものではない。 内容において示している算数的活動は児童が取り組む代表的な活動と考えられるも のである。算数的活動には,指導する内容や学習指導の進め方に応じて様々なものが あり,そのすべてを挙げることはできない。各学年の内容において, 「例えば」とし てあげていることからも分かるように,ここで示している算数的活動をその通りに行 うこともあるし,また類似した活動を設定して指導に取り入れることも考えられる。 さらに,ここで示されていない算数的活動についても,各学校や教師が工夫をして, 授業の中に取り入れていくよう にする必要がある。 第1学年から第6学年における算数的活 動の概略を示すと次のようになる。 第1学年 ア 具体物を数える活動 イ 計算の意味や仕方を表す活動 ウ 量の大きさを比べる活動 エ 形を見付けたり,作ったりする活動 オ 場面を式に表す活動 第2学年 ア 整数が使われ ている場面を見付ける活動 イ 乗法九九表からきまりを見付ける活動 ウ 量の大きさの見当を付ける活動 エ 図形をかいたり,作ったり,敷き詰めたりする活動 オ 図や式に表し説明する活動 第3学年 --15/63-- -13- ア 計算の仕方を考え説明する活動 イ 小数や分数の大きさを比べる活動 ウ 単位の関係を調べる活動 エ 正三角形などを作図する活動 オ 資料を分類整理し表を用いて表す活動 第4学年 ア 計算の結果の見積りをし判断する活動 イ 面積の求め方を考え説明する活動 ウ 面積を実測する活動 エ 平行四辺形などを敷き詰め,図形の性質を調べる活動 オ 身の回りの数量の関係を調べる活動 第5学年 ア 計算の仕方を考え説明する活動 イ 面積の求め方を考え説明する活動 ウ 合同な図形をかいたり,作ったりする活動 エ 図形の性質を帰納的に考え説明したり,演繹 的に考え説明したりする活動 オ 目的に応じて表やグラフを選び活用する活動 第6学年 ア 計算の仕方を考え説明する活動 イ 単位の関係を調べる活動 ウ 縮図や拡大図,対称な図形を見付ける活動 エ 比例の関係を用いて問題を解決する活動 B 各領域の内容の改善 今回の改訂において充実したり,新しく加えたり,学年間で移行したりした主な内 容を領域ごとにみると, 次の通りである。 A 数と計算 整数の意味や表し方,整数の計算についての内容は,これまでと同様に,主として 第1学年から第4学年に位置付けている。今回の改訂では,基礎的・基本的な内容の --16/63-- -14- 確実な定着を図るために,学年間でのスパイラルによる教育課程を重視している。こ れは,学年間などで同じ系統の内容の接続を工夫し,取扱いの程度を少しずつ高めて いくような教育課程を編成できるようにするものである。例えば,第1学年での「簡 単な3位数の表し方」 , 「簡単な2位数の加法及び減法」 ,第2学年での「簡単な3位 数の加法及び減法」 , 「簡単な2位数と1位数の乗法」 ,第3学年での「商が2位数に なる簡単な除法」 ,第4学年での「整数の計算 の能力の定着」などの内容を位置付け ている。 小数及び分数の意味や表し方や,小数及び分数の計算についての内容は,今回の改 訂では,主として第3学年から第6学年に位置付けている。整数についての内容と同 様に,学年間でのスパイラルを重視している。 例えば,第2学年での「簡単な分数」 , 第3学年での「簡単な小数の加法及び減法」 , 「簡単な分数の加法及び減法」 ,第4学 年での「乗数や除数が整数である場合の小数の乗法及び除法」 ,第5学年での「簡単 な分数の乗法及び除法」 ,第6学年での「小数及び分数 の計算の能力の定着」などの 内容である。 計算の範囲としては,整数では「4位数の加法及び減法」 , 「3位数に2位数をか ける乗法」の内容を新しく位置付けており,小数及び分数では,これまであったいわ ゆる「はどめ規定」は設 けないこととした。 また, 「計算の結果の見積り」に ついての内容は第4学年に位置付けており,見積 りを生かして計算の仕方や結果について適切に判断できるようにすることを重視して いる。 B 量と測定 第1学年では,長さに加えて, 「面積,体積の比較」を位置付けており,第2学年 以降で量の単位と測定について理解する上で基盤となる素地的な学習活動となるよう にしている。学年間で移行する内容としては,第2学年での「体積の単位(リットル など) 」 ,第5学年での「体積の単 位(立方センチメートルなど) 」 , 「単位量当たりの 大きさ」 ,第6学年での「円の面積 の求め方」などがある。また,新しい内容として は,第5学年での「ひし形及び台形の面積の求め方」 ,第6学年での「角柱及び円柱 の体積の求め方」 , 「メートル法の単位の仕組み」 などがある。 --17/63-- -15- C図形 各学年で平面図形と立体図形をバランスよく指導できるようにしている。第1学年 では,身の回りにあるものの形を取り上げ,平面図形と立体図形の両方を指導する。 学年間で移行する内容としては ,第2学年での「正方形 ,長方形,直角三角形」 , 「箱 の形」 ,第3学年での「二等辺三角形,正三角形」 , 「角」 , 「円,球」 ,第4学年での 「平行四辺形,ひし形,台形」 , 「立方体,直方体」 ,第5学年での「角柱,円柱」な どがある。中学校から一部を移行する内容としては,第5学年での「図形の合同」 , 第6学年での「縮図や拡大図」 , 「対称な図形」がある。これらは,小学校と中学校 との間での指導内容の接続に配慮したものである。また,新しい内容としては,第4 学年での「ものの位置の表し方」 ,第5学年での「多角形や 正多角形」がある。 D 数量関係 今回の改訂では, 式による表現についての内容は, 第1学年で 「加法及び減法の式」 , 第2学年で「加法と 減法の相互関係の式」 , 「乗法の式」 ,第3学年で「除法の式」 , 「□ などを用いた式」 ,第4学年で「□,△などを用いた式」 ,第6学年で「文字を用い た式」 (中学校から一部を移行)を位置付けた。 関数については,第5学年で「簡単な比例の 関係」を位置付けて,第6学年での「比 例」の内容へと,取扱いの程度を少しずつ高めていけるようにした。第6学年では, 「反比例」 (中学校から一部を移行 )の内容も位置付けた。 資料の整理については,第1学年で 「絵や図を用いた数量の表現」 ,第2学年で「簡 単な表やグラフ」 ,第6学年で「度数分布」 , 「起こり得る場合」 (中学校から移行) の内容を位置付けた。 --18/63-- --18/63-- 小学校算数科の内容の構成 (図1) ロは「新規の内容」,波絵は「スパイラルのため学年間で重複させる内容」,下線は「学年閣などで移行させる内容」を示している。 A数と計算B量と測定 第1 整数の意昧と表し方 @・2位数,簡単な3位数など     ..一...幽 ョ数の加・減 i量の大きさの比較 @ ・長さ,[重壁ヨの大きさの比較.  、..i時刻の読み方(小2から移行) 学年 ・1位数の加・減簡単な2位数の加・減i ● 整数などの表し方 @・3位数、4位数,1万,簡単な分数(1/2, @ 1/4など)など … i量の単位と灘定 @ ・長さの単位(mm, cm. m) @ ・体積の単位(ml dl,1)(小3から移行)i 第 幽..一.,.ョ数の加・減 ”i’9’ 詩学の単位(日 時,分)(小3から移行) 2学年  ・2位数の加・減簡単な3位数の加・ @ ど ョ数の乗法 @・乗法九九簡単な2位数の乗法など 減なi 整数の表し方 @・万の単位.1億など      、.一.,.’整数の加・減 @・3位数や[互亙亟】の加・減など...整数の乗法 …”!畠”7 ■ , いろいろな単位と測定 @ ・長さ(km)や重さの単位(g, kg.[ヨ⊃ v器による測定 蒔商φ車位圃て秒1;…蒔刻や時間の計算 ・2位数や3位数の乗法(3位数x2位数i 第3学年   など)など ョ数の除法 @・1位数による簡単な除法(商が1位数や2 @ 位数)など  .瓠》7r....’示薮(小4から移行) 〜i ・小数の意昧と表し方小数(110の位)の加・ …   亟 ェ数(小4.小5から移行) ・分数の意味と表し方,簡単な分数の加・減i そろばん @・数の表し方と却・減 整数の衷し方 @・億.兆の単位など ィよその数 @・概数,四捨五入四則計算の結果の見積り(小i i面積 @ ・面積の単位(cm『m2, km乳[a.ha])i @ と測定 @ ・正方形.長方形の面積の求め方 5,6から移行)                     7  .   一炎pの大きさの単位(度〔つ) 第4学年 ’整数の除法 @・2位数などによる除法など ョ数の四則計算の定着と活用’小薮φ吾算” @・小数の加・減(1刀。,巨Z画の位など) @・小数の乗・除(小数x整数,小数÷整数)(八i 5から移行) 分数の計算 @・同分母分数(真分数【圃)の加・減なi ど(小5から移行) そろはん @・加・減 整数の性質 @・偶数と奇数,約数と倍数(小6から移行), i面積 c・三角形,平行四辺形の亜積の求め方 圃 ・ひし形 台形の面積の求め方 璽薮と小数の記数法i体積                  .  一  ,i小6から移行)第5 小数の計算・体積の単位(cm3 m3)と測定 学・小数の乗・除.(辺qJ熈.q蕪なζ!_,、..・立方体 直方体の体積の求め方 年 分数の計算 @・里分母分数(百分数,[圃)の加・   i測定鎮の平均  . 一.,.減なi’単位量当たりφ夫’ぎぎて入口蓄度などジぐ承台’ ど(小6から移行) … から移行) ・分数の乗・除(分数x整数,分数÷整数) 分数の計算;概形 ・分数の乗・除(分数・小数の混合計算など) … ・およその面積など ’小照や野薮め四期計算の定着と活用 ■ .、 . . . G面割(小5から移行} 第・円の面積の求め方6学 i体積 年 ・角柱円柱の体積の求め方(中学校から移行)i                     「     ,  一苑ャざ” @ ・速さの意味及び表し方,速さの求め方 … メートル法の単位の仕組み --19/63-- :…       C図形        :      D数量関係       i      算数的活動 i図形 堰E身の回りにあるものの形(圃.立i: 体図形)の観察や構成         !,i                  i ’                  1式による表現             iア 具体物を数える活動 @                      ・加法や減法の場面を式に表す(「A数と計算」iイ 計算の意味や仕方を表す活動 @                       から移行)                      ・・・・・……・……・…・…一・…・・・……9………”………  ’’”i                                の                           いごiウ 量の大きさを比べる活動 燕H 形を見付けたり,作ったりする活動 i図形 @ ・三彫四角形      i  ・正方形,長方形.直角三角形(小3から移行)i @ ・箱の形(小3から移行)    i                      … @                     … @                     … i式による表現 @ ・加法と減法の椙互関係(「A数と計算」 @ ら移行) @ ・乗法の場面を式に表す(「A数と計算」かiエ @ ら移行):,7.7..7.................層.....『.『9..7.7.』_.... ......,._,...._,...・ G簡単な表やグラフ(「A数と計算」から移行)  iア 整数が使われている場面を見付ける活動 …かiイ 乗法九九表からきまりを見付ける活動 @iオ 図や式に表し説明する活動 @, @, ………  ・二等辺三角私正三角形(小4から移行) i…  ・角(小4から移行)          : @ ・円,球(小4から移行)        i @                     … @                     … @                     …・          ii                           ii                         : 堰@            …                      「…                      : c                      , @                     , i図形                i式による表現             iア 計算の仕方を考え説明する活動 @                      ・除法の場面を式に表す(「A数と計算」かiイ 小数や分数の大きさを比べる活動 @                       ら移行)              iウ 単位の関係を謬べる活動 @                      ,式と図の関連付け.己などを用いた式などi工正三角形などを作図する活動                      P.』777..7..7......噛..9.9......『...『.....7.........一......昌.9..層...,.『7,7.:                      i表や棒グラフ            iオ資料を分類整理し表を用いて表す活動 @                                          … @                                          … @                                          …                                           … @                                          … @                                          … @                                          幽 @                                          … i図形     …悔畿認無欝。.。、。関i建裏灘霧鯖箋斜            台形(小5から移行)i 係を調べる             iウ 面積を実灘する活動 @                      ・二つの観点の表折れ線グラフ 嵐雌る識’’””…’””』’”……”i工平行四辺形などを敷き詰め.図形の性質を 堰D四膿合の式Oを用い厭公式 i調べる活動                      iオ 身の回りの数量の関係を調べる活動                     ・・i @                   …・i @                     「 @                     . @                     … @                     … @                     …                      … :  ・多角形や正多角形,  ・図形の合同  学校から一部移行 @ ・図形の性質 @ ・円周率 @ ・角柱円柱(小6から移行) c…,                       ,艶}形                i衡単な比例の関係           iア 計算の仕方を考え説明する活動                       … @                     =猿O豊の関係め見汚や翻ぺ芳”……’”…’”…’”’iイ 面積の求め方を考え説明する活動                      = @                      動 C一 i ・縮図や拡大図(中学校から移行) ;図形                i些_.._..._..__..._........._.  _iア 計算の仕方を考え説明する活動 @                     i比例と反  (中学校から一部移行) ・対称な磨形 中学校から移行i文字を用いた半可Xなど)(中学校から一部i 決レ行)………, P,.一.一.....●.r●●9.魑●層●,,P,9層r         L.一...L. .・...’L…   ,…    PP.,,P,層’P「.7. 猿送ソの調べ方 @ ・資料の平均 D…匡鰯.................._』 …...…...... こ  る 口(中掌校から移行 iイ 単位の関係を調べる活動:ウ 縮図や拡大図,対称な図形を見付ける活動 燕H 比例の関係を用いて問題を解決する活動 c…, --20/63-- 中学校数学科の内容の構成 (図2) [コは「新規の内容」,三三は「学年間で移行させる内容」を示している。 A 数と式            B 図形 正の数・負の数 @ア 正の数と負の数の必要性と意味 @  (数の集合と四則) 平面図形 @ア 基本的な作図の方法とその活用 @イ 図形の移動 第 1 学 年 イ 正の数と負の数の四則計算の意味 E 正の数と負の数の四則計算 H 正の数と負の数を用いること 空間図形 @ア直線や平面の位置関係 @イ 空間図形の構成と平面上の表現 」 ウ 基本的な図形の計量 文字を用いた式 @ア 文字を用いることの必要性と意味 @イ 乗法と除法の表し方 @ウ 一次式の加法と減法の計算 @工 文字を用いた式に表すこと (球の表面積・体積) (不等式を用いた表現) 一元一次方程式 @ア 方程式の必要性と意味及びその解 @  の意味 @イ 等式の性質と方程式の解き方 文字を用いた式の四則計算 @ア 簡単な整式の加減及び単項式の乗 @  除の計算 @イ 文寧を用いた式で表したり読み @  取ったりすること @ウ 目的に応じた式変形 基本的な平面図形と平行線の性質 @ア 平行線や角の性質 @イ 多角形の角についての性質 第 2 学 年 図形の合同 @ア 平面図形の合同と三角形の合同条 @  件 @イ 証明の必要性と意味及びその方法 @ウ 三角形や平行四辺形の基本的な性 @  質 連立二元一次方程式 @ア ニ元一次方程式の必要性と意味及 @  びその解の意味 @イ 連立方程式とその解の意味 @ウ 連立方程式を解くことと活用する @  こと 第 3 学 年平方根 @ア 平方根の必要性と意味 @  (有理数・無理数) @イ 平方根を含む式の計算 @ウ 平方根を用いること 図形の相似 @ア 平面図形の相似と三角形の相似条 @  件 @イ 図形の基本的な性質 @ウ 平行線と線分の比 工 相似な図形の相似比と面積比及び    体積比の関係 堰@オ 相似な図形の性質を活用すること 式の展開と因数分解 @ア 単項式と多項式の乗法と除法の計算 @イ 簡単な式の展開や因数分解 @ウ 文字を用いた式でとらえ説明する @  こと 円周角と中心角 @ア 円周角と中心角の関係とその証明   (中2か日) @ (円周角の定理の逆) C 円周角と中心角の関係を活用する 二次方二二 @ア ニ次方程式の必要性と意味及びそ @  の解の意味 @イ 因数分解や平方完成して二次方程 @  式を解くこと こと(中2から) ウ 解の公式を用いて二次方程式を解 三平方の定理 @ア 三平方の定理とその証明 @イ 三平方の定理を活用すること璽工 二次方程式を活用すること --21/63-- C 関数D 資料の活用数学的活動 比例,反比例  ア 関数関係の意味(中2から) イ 比例,反比例の意味 ウ 座標の意味 工 比例,反比例の表,式,グラフ オ 比例,反比例を用いること 資料の散らばりと代表値 (誤差や近似値,αxlonの形の表現) ア ヒストグラムや代表値の必要性と 麺 イ ヒストグラムや代表値を用いるこ コ 各領域の学習やそれらを相互に関連付け た学習において,次のような数学的活動 に取り組む機会を設けること  ア 既習の数学を基にして,数や図形   の性質などを見いだす活動  イ 日常生活で数学を利用する活動  ウ 数学的な表現を用いて,自分なり   に説明し伝え合う活動 一次関数  ア 事象と一次関数  イ 一次関数の表式,グラフ  ウ ニ元一次方程式と関数  工 一次関数を用いること 確率  ア 確率の必要性と意味及び確率の求    め方  イ 確率を用いること 各領域の学習やそれらを相互に関連付け た学習において,次のような数学的活動 に取り組む機会を設けること  ア 既習の数学を基にして,数や図形   の性質などを見いだし,発展させる   活動  イ 日常生活や社会で数学を利用する   活動  ウ 数学的な表現を用いて,根拠を明   らかにし筋道立てて説明し伝え合う   活動 関数ソ=ατ2  ア 事象と関数ン冨αx2  イ 関数y=αx2の表,式グラフ  ウ 関数ン=ω=2を用いること エ いろいろな事象と関数 魎 ア 標本調査の必要性と意味 イ 標本調査を行うこと --22/63-- -20- 第2章 算数科の目標及び内容 小学校学習指導要領で の「第3節 算数」は, 第1 目標 第2 各学年の目標及び内容 第3 指導計画の作成と内容の取扱い によって構成されている。 以下でははじめに,算数科の教科の目標と,学年ごとの目標について解説をする。 次に, 「A数と計算」 , 「B量と測定」 , 「C図形」及び「D数量関係」の4領域ごとに, 領域のねらいや主な内容 について解説をする。 第1節 算数科の目標 1 教科の目標 教科の目標では,算数教育の全体を通じて児童に育成しようとする能力,資質や態 度を示している。小学校教育が目指す人間形成において,算数科が担う役割を明らか にしている。 算数科の目標は,次の通りである。 算数的活動を通して,数量や図形についての基礎的・基本的な知識及び技能 を身に付け,日常の事象について見通しをもち筋道を立てて考え,表現する能 力を育てるとともに,算数的活動の楽しさや数理的な処理のよさに気付き,進 んで生活や学習に活用しよ うとする態度を育てる。 目標の各部分は相互に密接な関連をもっているが,以下では,目標で示しているこ とをとらえやすくするために,五つの 部分に分けて解説することとする。 --23/63-- --23/63-- -21- (1) 算数的活動を通して 目標のはじめには「算数的活動を通して」とあり,この部分が算数科の目標の全体 にかかっている。これは,それ以下に示されている目標を実現するための,学習指導 の進め方の基本的な考え 方を述べたものである。 算数的活動とは,児童が目的意識をもって主体的に取り組む算数にかかわりのある 様々な活動を意味している。 ここで「目的意識をもって主体的に取り組む」とは,新たな性質や考え方を見いだ そうとしたり,具体的な課題を解決しようとしたりすることである。算数的活動を通 して,数量や図形の意味を実感をもってとらえたり,思考力,判断力,表現力等を高 めたりできるようにするとともに,算数を学ぶことの楽しさや意義を実感できるよう にするためには,児童が目的意識をもって主体的に取り組む活動となるように指導す る必要がある。その意味で,例えば,教師の説明を一方的に聞くだけの学習や,単な る計算練習を行うだけの学習は ,算数的活動には含まれない。 算数的活動には,様々な活動が含まれ得るものであり,作業的・体験的な活動など 身体を使ったり,具体物を用いたりする活動を主とするものがあげられることが多い が,そうした活動に限られるものではない。算数に関する課題について考えたり,算 数の知識をもとに発展的・応用的に考えたりする活動や,考えたことなどを表現した り,説明したりする活動は,具体物などを用いた活動でないとしても算数的活動に含 まれる。 算数的活動を取り入れることによって,算数の授業を次のように改善することがで きると考えられる。 ・算数の授業を児童の活動を中心と した主体的なものとする。 ・算数の授業を児童にとって 楽しいものとする。 ・算数の授業を児童にとって 分かりやすいものとする。 ・算数の授業を児童にとって 感動のあるものとする。 ・算数の授業を創造的 ,発展的なものとする。 ・算数を日常生活や自然現象 と結び付いたものとする。 ・算数と他教科,総合的な学習の時間等とを関連させる活動を構想しやすいものと --24/63-- -22- する。 (2) 数量や図形についての基礎的・基 本的な知識及び技能を身に付ける 算数の学習で児童が身に付ける基礎 的・基本的な知識及び技能は, 国語力と並んで, 生活や学習の基盤となるものである。日常の生活においても,他教科等や総合的な学 習の時間における学習においても,様々な活動の基になるものである。また,これか ら先の算数や数学の学習において発展させていくための基になるものでもある。そう した意味において重要である。 知識及び技能には,数量や図形にかかわる意味や概念,原理や法則が含まれるし, 数量や図形を式や記号,用語などを用いて簡潔に表現する方法や,いろいろな用具を 用いて量を測定したり図形を作図したりする方法なども含まれる。また,児童が新し く身に付ける知識及び技能は,児童がそれまでに身に付けてきた知識及び技能を基に して作り上げていくことが多いという 点にも留意する必要がある。 ここでいう知識及び技能を「身に付ける」とは,数量や図形の意味をとらえ,納得 できるようにすることであり,また,生活や学習の場面で目的に応じて適切に使って いけるように身に付けることである。 もしも, 意味の理解を伴わないままに, 例えば計算の仕方を機械 的に暗記させたり, 計算を形式的に処理させたりすることのみに力を入れるような指導を行えば,知識や 技能のもつ価値は半減してしまうことになる。計算の意味を理解し目的に応じて用い ることができるように指導する ことが必要である。 (3) 日常の事象について見通しをもち 筋道を立てて考え,表現 する能力を育てる 目標のこの部分は,考える力や,表現する力を育てることについて述べている。今 回の改訂では, 「考え,表現する能力を育てる」というように, 「表現する(能力) 」 の文言を加えて示している。考える能力と表現する能力とは互いに補完しあう関係に あるといえる。考えを表現する過程で,自分のよい点に気付いたり,誤りに気付いた りすることがあるし,自分の考えを表現することで,筋道を立てて考えを進めたり, よりよい考えを作ったりできるようになる。授業の中では,様々な考えを出し合い, お互いに学び合っていくことができるようになる。そうした考えから,目標において 考える能力と表現する能力とを 並べて示すこととした。 --25/63-- -23- ここでの日常の事象とは,児童の生活や学習の場面において,広く算数を活用する 対象となる事象を意味している。その際,児童がある目標を実現したいと思い,目標 の実現のために多少の困難さが伴うというとき,その事象は児童にとっての問題とな る。問題を解決するための新しい方法を作り結果を得ようとするとき,見通しをもち 筋道を立てて考えることが必要になる。 解決のための方法や結果についての見通しをもとうとするとき,問題の個々の要素 や全体的な状況を観察したり, 自ら試行や実験をしたりするこ とが役立つことが多い。 また,幾つかの具体例を調べて共通性を見付けるという帰納的な考えや,類似の場面 から推測するという類推的な考えを用いることもある。見通しをもつことは,問題の 解決を適切にまた合理的に進め ていく上で重要なものである。 問題解決の方法や結果が正しいことをきちんと示すためには,筋道を立てて考える ことが求められる。それは,根拠を明らかにしながら,一歩ずつ進めていくという考 えである。ある前提を基にして説明していくという演繹的な考えが代表的なものであ るが,児童が算数を学習していく中では,帰納的な考えや類推的な考えもまた,根拠 となる事柄を示すという点で,筋道を 立てた考えの一つといえる。 算数科においては,問題を解決したり,判 断したり,推論したりする過程において, 見通しをもち筋道を立てて考えたり表現したりする力を高めていくことを重要なねら いとしている。こうしたねらいは他教科等においても目指しているところであるが, 特に算数科の中では,帰納的に考えたり,演繹的に考えたりするなどの場面が数多く 現れる。さらに算数の内容のもつ系統性や客観性から見ても,上記のねらいに最も大 きな貢献ができると考えられる。 各学年における指導では, 児童の発達段階や, その学年での指導内容に適した形で, 見通しをもち筋道を立てて考える能力を育てていくことが重要である。また,児童が 具体物を用いたり,言葉,数,式,図,表,グラフなどを用いたりして,自分の考え たことを表現したり, 友達に説明したりする学習活動を 取り入れることが重要である。 (4) 算数的活動の楽しさ や数理的な処理のよさに気付く この部分は, 主として算数科における情 意面にかかわる目標を述べている。 例えば, IEA(国際教育到達度評価学会)の比較調査ではこれまで,我が国では算数が好き --26/63-- -24- であるという児童の割合が国際的に見ると低いとの結果が報告されており,そうした 状況は現在でも改善されているとはいえない。算数の指導においては,児童が算数は 楽しい,算数は面白い,算数は素晴らしいと感じることができるような授業をつくり だしていくことが大きな課題である。 目標の中での「算数的活動の楽しさ」に気付くという部分は,そうした課題に応え るためのものである。例えば,算数を日常の事象と結び付ける活動,ものづくりをす るなどの作業的な活動, 実際の数や量の大きさを確かめ たりするなどの体験的な活動, 九九表に潜むきまりを発見するなどの探究的な活動,解決した問題からの新しい問題 づくりなどの発展的な活動等々を通して,児童が活動の楽しさに気付くことをねらい としている。児童は本質的に活動性に富むものであり,活動を楽しむものであるとも いわれている。そうした児童の本性に根ざす算数的活動を積極的に取り入れることに よって,楽しい算数の授業を創 造することが大切である。 後半では「数理的な処理のよさに気付く」ことがあげられている。そのためには, 日常の事象を数理的にとらえ,処理していく学習活動が重要である。事象を数理的に とらえるとは,事象の中に含まれる数,量,図形などの要素に着目したり,変化や対 応などの関数の考えや,対象を明確にするなどの集合の考えなどの数学的な考え方に 着目したりして,考察し探究し ていくことである。 よさに気付くということは, 算数の価値や算数を学習する意 義に気付くことであり, 学習意欲の喚起や学習内容の深い理解につながり,また,算数に対して好意的な態度 を育てることになる。こうした面においてはとりわけ,教師の指導により,児童が主 体的に対象へかかわるようにす ることが重要である。 よさについては,数量や図形の知識及び技能に含まれるよさがあるし,数学的な思 考,判断,表現等に含まれるよさがある。どのようなよさかといえば,有用性,簡潔 性,一般性,正確性,能率性,発展性 ,美しさなどの諸点があげられる。 例えば算数では「数」を扱い,ものの 個数を調べたり,大き さの比較をしたりする。 これは日常生活のいろいろな場面で活用されるものである。それは「数」という内容 がもつ, 有用性にかかわるよさである。 整数は十進位取り記数 法を用いて表されるが, この記数法は,位の位置によって大きさを表せるという優れた方法である。それによ --27/63-- -25- って簡潔に分かりやすく数を表したり,数の大小を比較したりできるのである。これ は「表現の仕方」がもつ有用性,簡潔 性,一般性にかかわるよさである。 このようにして,各々の内容や方法などのもつよさを明らかにしていくような教材 研究を進めることが重要である。また学習の中で,児童が自らそうしたよさに気付い ていけるようにする指導の創意 工夫が重要である。 (5) 進んで生活や学習に 活用しようとする態度を育てる 目標のこの部分は,算数を活用しようとする態度を育てるというねらいを述べてい る。今回の改訂では,算数の授業の中で,基礎的・基本的な知識及び技能を確実に身 に付けることと,身に付けた知識及び技能を活用していくことを重視している。算数 は,生活や学習の様々な場面で活用することができる。児童が算数で学習したことが 生活や学習の様々な場面で活用されることによって,学習が意味あるものとなり,算 数のよさを実感を伴って味わう ことができるようになる。 ここでいう「生活や学習」については広くとらえることができる。児童の家庭や学 校での生活,地域社会での生活があるし,将来の社会生活も含められる。学習につい ては,他教科等の学習はもとより,これから先の算数や数学の学習にも活用していく ことが重要である。算数・数学では,既習の内容を活用して新しい知識や方法を生み 出すことができる。また,例えば総合的な学習の時間では,算数で身に付けた知識, 技能や,思考力,判断力,表現力等を活用して,様々な探究的な学習活動ができるよ うになるのである。 --28/63-- --28/63-- -26- 2 学年の目標 算数科では各学年ごとに目標と内容を示している。学年の目標では,指導の中心的 なねらいを述べている。各学年には, 「A数と計算」 , 「B量と測定」 , 「C図形」及び 「D数量関係」という内容の領域があるので,それらに対応した四つの学年目標を示 している。 第1学年の目標 ( 1 ) 具体物を用いた活動などを通して,数についての感覚を豊かにする。数の意 味や表し方について理解できるようにするとともに,加法及び減法の意味につ いて理解し,それらの計算の仕方を考 え,用いることができるようにする。 ( 2 ) 具体物を用いた活動などを通して,量とその測定についての理解の基礎とな る経験を重ね,量の大きさ についての感覚を豊かにする。 ( 3 ) 具体物を用いた活動などを通して,図形についての理解の基礎となる経験を 重ね,図形について の感覚を豊かにする。 ( 4 ) 具体物を用いた活動などを通して,数量やその関係を言葉,数,式,図など に表したり読み取ったりす ることができるようにする。 第1学年の「A数と計算」では,2位数ま での数の意味や表し方について指導する。 学年間でのスパイラルとして,簡単な場合についての3位数も取り扱う。計算では, 1位数どうしの加法及びその逆の減法について指導し,それらを確実に身に付けるよ うにする。学年間でのスパイラルとして,簡単な場合についての2位数の加法及び減 法も取り扱う。 「B量と測定」では,長さ,面積,体積を直接比べることについて指導する。量の 単位と測定について理解する 上で基盤となる素地的な学習活動としてのねらいがあ る。また,日常生活の中で時刻 を読めるように指導する。 「C図形」では,身の回りにあるものの形について指導し,平面図形と立体図形の --29/63-- -27- 両方を取り扱う。図形について理解する上で基盤となる素地的な学習活動としてのね らいがある。 「D数量関係」では,加法及び減法の場面を式に表すことや,ものの個数を絵や図 などを用いて表すことに ついて指導する。 第2学年の目標 ( 1 ) 具体物を用いた活動などを通して,数についての感覚を豊かにする。数の意 味や表し方についての理解を深めるとともに,加法及び減法についての理解を 深め,用いることができるようにする。また,乗法の意味について理解し,そ の計算の仕方を考え,用い ることができるようにする。 ( 2 ) 具体物を用いた活動などを通して,長さや体積などの単位と測定について理 解できるようにし,量の大きさに ついての感覚を豊かにする。 ( 3 ) 具体物を用いた活動などを通して,三角形や四角形などの図形について理解 できるようにし,図形につ いての感覚を豊かにする。 ( 4 ) 具体物を用いた活動などを通して,数量や その関係を言葉,数,式,図,表, グラフなどに表したり読み取った りすることができるようにする。 第2学年の「A数と計算」では,4位数までの数の意味や表し方について指導し, 1万についても取り扱う。また, , など 簡単な分数について指導し,これから の分数の理解のための基盤となる素地的な学習活動となるようにする。計算では,2 位数の加法及びその逆の減法,乗法九九の指導が中心であり,それを確実に身に付け るようにする。学年間でのスパイラルとして,簡単な場合についての3位数の加法及 び減法について,また2位数と1位数 との乗法についても取り扱う。 「B量と測定」では,長さの単位(mなど)と測定,体積の単位(lなど)と測定 について指導する。また,時刻 の読み方について指導する。 「C図形」では,平面図形としては三角形,四角形,正方形,長方形,直角三角形 について,また立体図形としては箱の 形をしたものについて指導する。 1 2 1 4 --30/63-- -28- 「D数量関係」では,加法と減法の相互関係を式に表すこと,乗法の場面を式に表 すことについて指導する。また,簡単な表やグラフを用いて数量を表すことについて 指導する。 第3学年の目標 ( 1 ) 加法及び減法を適切に用いることができるようにするとともに,乗法につい ての理解を深め,適切に用いることができるようにする。また,除法の意味に ついて理解し,その計算の仕方を考え,用いることができるようにする。さら に,小数及び分数の意味や表し方 について理解できるようにする。 ( 2 ) 長さ,重さ及び時間の単位と測 定について理解できるようにする。 ( 3 ) 図形を構成する要素に着目して,二等辺三角形や正三角形などの図形につい て理解できるようにする。 ( 4 ) 数量やその関係を言葉,数,式,図,表,グラフなどに表したり読み取った りすることができるようにする。 第3学年の「A数と計算」では,整数の表し方として,万の単位や,数の相対的な 大きさについて指導する。整数の計算では,3位数や4位数の加法及び減法,2位数 や3位数に1位数や2位数をかける乗法,除数と商が共に1位数である除法などにつ いて指導する。小数の意味や表し方,分数の意味や表し方の指導は,第3学年から本 格的に始まる。第2学年において,児童は簡単な分数についての素地的な学習活動を 行ってきているので, そうした経験を生かした指 導を行うことが大切である。 さらに, の位までの小数の加法及び減法,簡単な場合についての分数の加法及び減法につ いても指導する。また,そろばんによる数の 表し方,加法及び減法について指導する。 「B量と測定」では,長さの単位( km) ,重さの単位(gなど)と測定について指 導するとともに,時間の単位(秒) ,時刻や時間を求めることについて指導する。 「C図形」では,平面図形としては二等辺三角形,正三角形,円について,また立 体図形としては球について指導する。 10 1 --31/63-- -29- 「D数量関係」では,除法の場面を式に表すこと,数量を□などを用いて式に表す こと,棒グラフの読み方やかき 方について指導する。 第4学年の目標 ( 1 ) 除法についての理解を深め,適切に用いることができるようにする。また, 小数及び分数の意味や表し方についての理解を深め,小数及び分数についての 加法及び減法の意味を理解し,それらの計算の仕方を考え,用いることができ るようにする。さらに,概数について理解し,目的に応じて用いることができ るようにする。 ( 2 ) 面積の単位と測定について理解し,図形の面積を求めることができるように するとともに,角の大きさの単位と測 定について理解できるようにする。 ( 3 ) 図形を構成要素及びそれらの位置関係に着目して考察し,平行四辺形やひし 形などの平面図形及び直方体などの立 体図形について理解できるようにする。 ( 4 ) 数量やその関係を言葉,数,式,図,表,グラフなどに表したり調べたりす ることができるようにする。 第4学年の「A数と計算」では,整数の表し方として,億,兆の単位について指導 する。整数の計算では,除数が1位数や2位数で被除数が2位数や3位数の除法につ いて指導する。第4学年は,整数の四則計算のまとめの段階に当たるため, 「整数の 計算の能力を定着させ,それを用いる能力を伸ばす」ことを指導する。小数では,加 法及び減法について,また,乗数や除数が整数である場合の小数の乗法及び除法につ いて指導する。分数では,同分母の分数の加法及び減法について指導する。さらに, 概数について理解すること, 四則計算の結果の見積りを することについても指導する。 また,そろばんでの加法及び減 法について指導する。 「B量と測定」では,面積の単位(uなど)と測定について,また正方形及び長方 形の面積の求め方について指導する。また角の大きさの単位(度(°) )と測定につ いて指導する。 「C図形」では,平面図形としては平行四辺形,ひし形,台形について,また立体 --32/63-- -30- 図形としては立方体,直方体について指導する。また,ものの位置の表し方について 指導する。 「D数量関係」では,変化の様子と折れ線グラフについて,数量の関係を表す式に ついて,四則に関して成り立つ性質について,また資料の分類整理と表現 など につい て指導する。 第5学年の目標 ( 1 ) 整数の性質についての理解を深める。また,小数の乗法及び除法や分数の加 法及び減法の意味についての理解を深め,それらの計算の仕方を考え,用いる ことができるようにする。 ( 2 ) 三角形や平行四辺形などの面積及び直方体などの体積を求めることができる ようにする。また,測定値の平均及び異種の二つの量の割合について理解でき るようにする。 ( 3 ) 平面図形についての理解を深めるとともに,角柱などの立体図形について理 解できるようにする。 ( 4 ) 数量の関係を考察するとともに,百分率や円グラフなどを用いて資料の特徴 を調べることができるようにする。 第5学年の「A数と計算」では,整数の性質としては偶数,奇数,約数,倍数につ いて指導し,また整数及び小数の記数法について指導する。小数では,乗法及び除法 などについて指導する。分数では,異分母の分数の加法及び減法について指導する。 「B量と測定」では,三角形,平行四辺形,ひし形及び台形の面積の求め方につい て指導する。また,体積の単位( m 3 など)と測定についてや,立方体及び直方体の 体積の求め方について指導する。さらに,測定値の平均や,単位量当たりの大きさに ついて指導する。また、乗数や除数が整数である場合の分数の乗法及び除法について 指導する。 「C図形」では,平面図形としては多角形や正多角形について,また立体図形とし ては角柱や円柱について指導する。また,図形の合同についてや,図形の性質を見い --33/63-- --33/63-- -31- だすことなどについて指導する。 「D数量関係」では,簡単な場合につ いての比例の関係について 指導する。これは, 第6学年での比例についての理 解のための素地的な学習 活動となるものである。 また, 数量の関係を表す式について,百分率についてや,円グラフなどについて指導する。 第6学年の目標 ( 1 ) 分数の乗法及び除法の意味についての理解を深め,それらの計算の仕方を考 え,用いることができるようにする。 ( 2 ) 円の面積及び角柱などの体積を求めることができるようにするとともに,速 さについて理解し,求める ことができるようにする。 ( 3 ) 縮図や拡大図,対称な図形について 理解し,図形についての理解を深める。 ( 4 ) 比や比例について理解し,数量の関係の考察に関数の考えを用いることがで きるようにするとともに,文字を用いて式に表すことができるようにする。ま た,資料の散らばりを調べ統計的に考 察することができるようにする。 第6学年の「A数と計算」では,分数の乗法及び除法について指導する。また,小 数及び分数の四則計算のまとめの段階に当たるため, 「小数及び分数の計算の能力を 定着させ,それらを用いる能力 を伸ばす」ことを指導する。 「B量と測定」の領域では,概形とおよその面積などについて,円の面積の求め方 についてや,角柱及び円柱の体積の求め方について指導する。また,速さを求めるこ とについてや,メートル法の単 位の仕組みについて指導する。 「C図形」では,縮図や拡大図について ,また対称な図形について指導する。 「D数量関係」では,比について,比例や反比例についてや,文字を用いた式につ いて指導する。資料の整理では,平均について,度数分布について,また,起こり得 る場合を調べることについて指導する。 --34/63-- -32- 第2節 算数科の内容 1 内容構成の考え方 各学年で指導する算数の内容は, 「A数と計算」 , 「B量と測定」 , 「C図形」及び 「D数量関係」の4領域に分けて示している。これは,算数の内容の全体を見やすく し,内容の系統性や発展性を分かりやすくするためである。また,今回の改訂におい ては,4領域の後に〔算数的活 動〕の内容を示している。 A,B,Cの三つの領域はそれぞれ,算 数の学習の対象である数,量,図形に対 応するものである。 「A数と計算」の領域は, 整数,小数,分数などの数の意味や表 し方,数の計算などの内容によって構成されている。 「B量と測定」の領域は,身の 回りにあるいろいろな量の単位と測定 などの内容によって構成されている。 「C図形」 の領域は,平面図形や立体図形の意味と性質,図形の構成などの内容によって構成さ れている。それぞれの領域では,数,量,図 形の意味について理解す ることと,計算, 測定や構成などを行うこととを 密接に結び付けて指導を進める ことが大切である。 また「D数量関係」の領域は,数量や図形を取り扱う際の共通の考え方や方法など によって構成されている。この領域では,変化や対応などの関数の考え,式による表 現,表やグラフなどの内容を指導する。 2 各領域の内容の概観 A 数と計算 (1) 「A数と計算」の領域のねらい この領域では,整数,小数及び分数の意味や表し方について理解できるようにし, 数についての感覚を豊かにする。また,整数,小数及び分数の計算の意味について理 解し,それらの計算の仕方を考え,計算に習熟し活用することができるようにする。 さらに,数の意味や計算の仕方などの学習を通して,数学的な考え方を育て,算数的 --35/63-- -33- 活動の楽しさや数理的な処理のよさに気付いていけるようにすることも大切なねらい である。 (2) 「A数と計算」の内容の概観 各学年の主な内容を,数と計算に分けて 整理してみると,次の表のようになる。 学年 数 計算 第1学年 ・2位数 ・1位数の加法及びその逆の減法 ・簡単な3位数 ・簡単な2位数などの加法及び減法 第2学年 ・4位数(1万までの 数) ・2位数の加法及びその逆の減法 ・十進位取り記数法 ・簡単な3位数の加法及び減法 ・簡単な分数 ・乗法九九 ・簡単な2位数と1位数の乗法 第3学年 ・万の単位(1億までの数) ・整数の加法及び減法(3位数や4位数) ・小数( の位) ・整数の乗法(2位数や3位数など) ・分数 ・整数の除法(除数と商が1位数) ・簡単な整数の除法(除数が1位数で商 が2位数) (簡単な暗算) ・そろばんによる計算 ・簡単な小数,分数の加法及び減法 第4学年 ・億,兆の単位 ・整 数の除法(除数が1位数や2位数で ・概数 被除数が2位数や3位数) ・小数 ・計算の結果の見積り ・分数 (簡単な暗算) (真分数,仮分数,帯分数) ・整数の計算の能力の定着 ・そろばんによる計算 ・小数の加法及び減法 ・乗数や除数が整数の場合の小数の乗法 及び除法 ・同分母の分数の加法及び減法 第5学年 ・偶数,奇数 ・乗 数や除数が小数の場合の乗法及び除 ・約数,倍数 法 (最大公約数,最小公倍数) ・異分母の分数の加法及び減法 10 1 --36/63-- -34- (素数) ・乗数や除数が整数の場合の分数の乗法 及び除法 第6学年 ・ (逆数) ・乗数や除数が分数の場合の乗法及び除 法 ・小数や分数の計算の能力の定着 第1学年では,1位数や2位数の数の意味や表し方について指導する。学年間での スパイラルとして,簡単な場合についての3位数も取り扱う。計算では,1位数どう しの加法及びその逆の減法について指導し,それらを確実に身に付けるようにする。 学年間でのスパイラルとして,簡単な場合についての2位数の加法及び減法も取り扱 う。 第2学年では,4位数までの数の意味や表し方について指導し,1万についても取 り扱う。また, , など簡単な分数につい て指導し,これからの分数の理解のた めの基盤となる素地的な学習活動となるようにする。計算では,2位数の加法及びそ の逆の減法,乗法九九の指導が中心であり,それらを確実に身に付けるようにする。 学年間でのスパイラルとして,簡単な場合についての3位数の加法及び減法,2位数 と1位数との乗法についても取り扱う。 第3学年では,整数の表し方として,万の単位や,数の相対的な大きさについて指 導する。整数の計算では,3位数や4位数の加法及び減法,2位数や3位数に1位数 や2位数をかける乗法,除数と商が共に1位数である除法などについて指導する。小 数の意味や表し方,分数の意味や表し方の指導は,第3学年から本格的に始まる。第 2学年において,児童は簡単な分数についての素地的な学習活動を行ってきているの で,そうした経験を生かした指導を行うことが大切である 。さらに, の位までの 小数の加法及び減法, 簡単な場合についての分数の加法 及び減法についても指導する。 また,そろばんによる数の表し方,加 法及び減法について指導する。 第4学年では,整数の表し方として,億,兆の単位について指導する。整数の計算 では,除数が1位数や2位数で被除数が2位数や3位数の除法について指導する。第 10 1 1 2 1 4 --37/63-- -35- 4学年は,整数の四則計算のまとめの段階に当たるため, 「整数の計算の能力を定着 させ,それを用いる能力を伸ばす」ことを指導する。小数では,加法及び減法につい て,また,乗数や除数が整数である場合の小数の乗法及び除法について指導する。分 数では,同分母の分数の加法及び減法について指導する。さらに,概数について理解 すること,四則計算の結果の見積りをすることについても指導する。また,そろばん での加法及び減法について指導する。 第5学年では,整数の性質としては偶数,奇数,約数,倍数について指導し,また 整数及び小数の記数法について指導する。小数では,乗法及び除法などについて指導 する。分数では,異分母の分数の加法及び減法について指導する。また,乗数や除数 が整数である場合の分数の乗法 及び除法について指導する。 第6学年では,分数の乗法及び除法について指導する。また,小数及び分数の四則 計算のまとめの段階に当たるため, 「小数及び分数の計算の能力を定着させ,それら を用いる能力を伸ばす」 ことを指導する。 (3) 主な内容の解説 @数 ア整数 整数は,ものの個数を表したり,ものの順番を表したりするときに用いられる。整 数は,十進位取り記数法 によって表される。 第1学年から数(かず)と呼びながら整数について指導する。第3学年からは小数 や分数と区別するために,整数という 用語を用いるようにする。 第1学年では,ものとものとを対応させることによって個数を比べること,個数や 順番を正しく数えたり表したりすること,数を大小の順に並べること,一つの数をほ かの数の和や差としてみることなどを指導して,整数の意味について理解できるよう にする。 第2学年では,同じ大きさの集まりにまとめて数えたり,分類して数えたりするこ と,十進位取り記数法により数を表すこと,数を十や百を単位としてみること,一つ の数をほかの数の積としてみることなどを指導して,整数を用いる能力を伸ばすよう にする。 --38/63-- --38/63-- --38/63-- -36- 第3学年では,万の単位について,また十進位取り記数法の仕組みについて指導し て,整数の表し方についての理 解を深め,数を用いる能 力を伸ばすようにする。 第4学年では,億,兆の単位について指導し,十進位取り記数法の理解を深めるよ うにする。また四捨五入について指導して,概数について理解し,目的に応じて用い ることができるようにする。 第5学年では,偶数,奇数について,また約数,倍数について指導して,整数の性 質についての理解を深めるようにする。 イ 小数と分数 小数は,第3学年で,端数部分の大きさを表すのに用いることで導入される。小数 の表し方や, の位について指導する。 第4学年から第5学年では, の位, の位な どについて指導し,小数が十進 位取り記数法によって表されることの 理解を深めるようにする。 分数は,第2学年から指導する。 , な ど簡単な分数について指導し,これか らの分数の理解のための基盤となる素 地的な学習活動となるようにする。 第3学年では,等分してできる部分の大きさや端数部分の大きさを表すのに分数を 用いることや,分数は単位分数の幾つ分かで表せることを 指導する。例えば, は という単位分数の四 つ分という意味である。 第4学年では,簡単な場合について,大きさの等しい分数があることに着目するこ とを指導する。また,1より小さい分数を真分数ということ,1に等しいか1より大 きい分数を仮分数ということや,仮分数を整数と真分数の和の形で表したものを帯分 数ということを指導する。 第5学年では,例えば,2÷3= などのように,整数の除法の結果を分数で 表すことを指導する。また,分数を小数で表すことや,異分母の分数の大小の比べ方 4 3 1 3 1 2 1 4 10 1 100 1 1000 1 2 3 --39/63-- -37- などについて指導し,分数についての 理解を深めるようにする。 A計算 計算の指導に当たっては,計算の意味について理解すること,計算の仕方を考える こと,また計算に習熟し活用で きるようにすることが大 切なねらいである。 ア 加法と減法 【整数の加法と減法】 第1学年では,加法及び減法が用いられる場合について知り,1位数と1位数との 加法及びその逆の減法の 計算の仕方を考え, それらの計算が確実にで きるようにする。 第2学年では,加法及び減法が用いられる場合の理解を深めるとともに,これらの 計算に関して成り立つ性質を調べ,それを計算の仕方を考えたり,確かめをしたりす ることに生かすようにする。2位数までの加法及びその逆の減法が確実にできるよう にする。 第3学年では,整数の加法及び減法の計算が確実にできるようにし,それらを適切 に用いる能力を伸ばす。 【小数の加法と減法】 第3学年では, の位までの小数の加法及び減 法の意味について理解し,計算の 仕方を考え,計算ができるようにする。 第4学年では,加法及び減法についての理解を深め,計算が確実にできるようにす る。 【分数の加法と減法】 第3学年では,簡単な場合について,分数の加法及び減法の意味について理解し, 計算の仕方を考える。 第4学年では,同分母分数の加法及び減法の意味について理解し,それらを用いる ことができるようにする。 第5学年では,異分母の分数の加法及び減法を指導する。異分母の分数の加法及び 減法のために,通分が必要である。 イ 乗法と除法 10 1 --40/63-- -38- 【整数の乗法と除法】 第2学年では, 乗法が用いられる場合や計算の意 味について理解できるようにする。 例えば,一つ分の大きさを知ってその幾つ分か,または何倍かの大きさを求める計算 として意味付けをしたり,同数累加(加法の繰り返し)によって,その結果を求めた りする。第2学年では,乗法九九を知り,1位数と1位数の乗法を確実にできるよう にすることが特に重要である。なお,乗法九九の理解を深めるために,簡単な場合の 2位数と1位数との乗法も扱う。 第3学年では,乗法について乗数が2位数までの計算が確実にできるようにする。 また,除法については除法が用いられる場合や計算の意味について理解できるように する。除法には,等分除に当たる場合と包含除に当たる場合とがある。等分除とは一 つ分の大きさを求める場合,包含除とは幾つ分になるかを求める場合である。これら は,計算の仕方としては同一のものとみることができるので,除法としては一つのも のとしてとらえることができるようにする。除法に関しては,乗法の逆の計算である ことを知り,除法の計算を乗法で確かめることによって,乗法と除法の関係の理解を 深め,確実な計算ができるようにする。 第4学年では,除法について除数が2位数までの計算が確実にできるようにするこ とが大切である。 【小数の乗法と除法】 第4学年では,乗数や除数が整数である場合の小数の乗法及び除法の計算の仕方を 考え,それらの計算がで きるようにする。 第5学年では,乗数や除数が小数である場合の乗法及び除法を用いることができる ようにする。乗数が小数である計算になると,加法の繰り返しという累加の意味では とらえられなくなるので,計算の意味を広げる必要がある。除数が小数である計算に ついても,計算の意味を 広げる必要がある。 【分数の乗法と除法】 第5学年では,乗数や除数が整数である場合の分数の乗法及び除法の意味と計算の 仕方を考え,それらの計 算ができるようにする。 第6学年では,乗数や除数が分数である場合の乗法及び除法を用いることができる --41/63-- -39- ようにする。このとき,乗数や除数が分数である場合でも,第5学年の小数の乗法, 除法のときに拡張した意味がそのまま適用できるので,それとの関連に配慮する必要 がある。 また, 除法の計算は逆数を用いることに よって乗法に直すことができること, 小数や分数の乗法の計算は分数 の計算にまとめられるこ となどを指導する。 ウ 概数と見積り 第4学年では,概数の意味や,四捨五入などについて指導する。また,目的に応じ て四則計算の結果の見積りをすることを指導する。概数や見積りは,第4学年以降の 様々な内容と関連する。 計算の結果の見積りをして,計算の仕方や結果について適切に判断できるようにす ることが大切である。 B 量と測定 (1) 「B量と測定」の領域のねらい この領域のねらいは,身の回りにある様々な量の単位と測定について理解し,実際 に測定できるようにするとともに,量の大きさについての感覚を豊かにすることであ る。 算数で指導する量には,長さ,面積,体積,時間,重さ,角の大きさ,速さなどが ある。それぞれの量に応じた単位と測定について指導する。単位を用いて量の大きさ を表すことの有用性に気付いたり,目的に応じて適切な単位を選んで測定したりでき るように指導する。 (2) 「B量と測定」の内容の概観 各学年の主な内容を,量の単位と,量の比較や測定などに分けて整理してみると, 次の表のようになる。なお, 〔 〕の中の単位は, 「内容の取扱い」において示した ものである。 学年 量の単位 量の比較や測定など 第1学年 ・長さ,面 積,体積の直接比較など ・時刻の読み --42/63-- -40- 第2学年 ・長さの単位( mm , cm , m) ・長さと体積の測定 ・体積の単位( ml ,dl,l ) ・時間の単位(日,時,分) 第3学年 ・長さの単位( km) ・長さと重さの測定 ・重さの単位( g ,kg) , 〔t 〕 ・単位や計器を適切に選んでの測定な ・時間の単位(秒) ど ・時刻や時間の計算 第4学年 ・面積の単位 (cm 2 , m 2 , km 2 ) , ・面積の求め方(正方形,長方形) 〔a ,ha 〕 ・角の大きさの測定 ・角の大きさの単位(度(°) ) 第5学年 ・体積の単位( cm 3 ,m 3 ) ・面積の求め方 (三角形, 平行四辺形, ひし形,台形) ・体積の求め方(立方体,直方体) ・測定値の平均 ・単位量当たりの大きさの求め方 第6学年 ・概形とおよその面積 ・面積の求め方(円) ・体積の求め方(角柱,円柱) ・速さの求め方 ・メートル法の単位の仕組み 「B量と測定」の領域で指導する内容は, ほかの領域の内容とかかわるものが多い。 例えば,量の大きさを表すとき,整数,小数,分数が必要になる。また,面積や体積 を求める対象となるのは,平面図形や立体図形である。さらに,面積や体積を求める 式は,比例など関数の考えと関連する。このような,複数の領域間の内容の関連に配 慮することが大切である。 第1学年では,量とその測定についての理解の基礎となる経験を豊かにすることを ねらいとして,長さ,面積,体積を直接比べることや,身の回りにあるものの大きさ を単位として,その幾つ分かで大きさを比べることを指導する。また,日常生活の中 で時刻を読むことができるようにする。 第2学年では, 長さや体積について, 多くの人が共通に利用 する普遍単位の意味と, 普遍単位を用いた測定を指導する。長さの単位としては,ミリメートル( mm ) ,セ --43/63-- --43/63-- -41- ンチメートル( cm ),メートル( m )を指導し,体積の単位としては,ミリリットル (ml ) ,デシリットル( dl) ,リットル( l )を指導する。また,時間の単位(日,時, 分)とそれらの関係について指導する。 第3学年では,長さの単位(キロメートル( km) )と,重さの単位(グラム(g) , キログラム( kg) )を指導する。また,時間の単位 (秒)と,時刻や時間の計算につ いて指導する。 第4学年では,面積について,単位と測定の意味を理解できるように指導する。面 積の単位(平方センチメートル( cm 2 ) ,平方メートル( m 2 ) ,平方キロメートル( km 2 ) ) を指導し,平面図形(正方形,長方形)の面積の求め方を考えることを指導する。ま た,角の大きさを回転の大きさと してとらえることや,角の大 きさの単位(度(°) ) について指導する。 第5学年では,三角形,平行四辺形,ひし形及び台形の面積の求め方を考えること を指導する。体積について,単位と測定の意味を理解できるように指導する。体積の 単位(立方センチメートル( cm 3 ) ,立方メートル( m 3 ) )を指導し,立体図形(立方 体,直方体)の体積の求め方を考えることを指導する。また,測定値の平均や,人口 密度など単位量当たりの大きさ (異種の二つの量の割合 )について指導する。 第6学年では,身の回りにある形を概形でとらえ,およその面積などを求めること を指導する。また,円の面積の求め方を考えることを指導する。体積については,角 柱及び円柱の体積の求め方を考えることを指導する。第5学年で単位量当たりの大き さについて指導しているが,速さについては第6学年で指導する。さらに第6学年で は,これまでに児童が学習してきた量の単位について振り返り,メートル法の単位の 仕組みについて理解でき るように指導する。 (3) 主な内容の解説 ア 算数で指導する量 長さは,視覚的にとらえやすい大きさである。第1学年では,長さの直接比較など を指導する。第2学年では,多くの人が共通に利用する普遍単位の意味を理解できる ようにし,長さの単位(ミリメートル( mm ) ,センチメートル( cm ),メートル( m ) ) と,それらを用いた測定に ついて指導する。第3学年では,キロメートル( km)の --44/63-- -42- 単位について指導する。また,長さについて,単位や計器を適切に選んで測定できる ようにする。 面積は,広がりをもつ面の大きさである。第1学年では,具体物を重ねるなどの活 動を通して,面積の直接比較などを指導する。第4学年では,面積の単位(平方セン チメートル( cm 2 ) ,平方メートル( m 2 ) ,平方キロメートル( km 2 ) )と測定について 指導する。また,平面図形(正方形,長方形)の面積の求め方を考えることを指導す る。第5学年では,第4学年までの内容を活用して,三角形,平行四辺形,ひし形及 び台形の面積の求め方について考えることを指導する。第6学年では,身の回りにあ る形を概形でとらえ,およその面積などを求めることを指導する。また,円の面積の 求め方を考えることを指導する。 体積は,児童の身の回りにある箱などの入れ物の大きさなどとしてとらえられる。 第1学年では, 具体物を重ねるなどの 活動を通して, 体積の直接比較などを指導する。 第2学年では,体積の単位(ミリリットル( ml ) ,デシリットル( dl ) ,リットル( l ) ) と測定について指導する。第5学年で は,体積の単位(立方センチメートル( cm 3 ) , 立方メートル( m 3 ) )と測定について指導する。また,立体図形(立方体,直方体) の体積の求め方を考えることを指導する。第6学年では,第5学年までの内容を活用 して,角柱及び円柱の体積の求 め方を考えることを指導する。 時間については,日常生活との関連を大切にしながら指導する。第1学年では,日 常生活の中で時刻を読むことができるようにする。第2学年では,時間の単位(日, 時,分)とそれらの関係について理解できるようにする。第3学年では,時間の単位 (秒)と,時刻や時間の 計算について指導する。 重さは,ものの見かけだけではとらえられない大きさであり,具体物を手に持った り体に身に付けたりして重さを実感するなどの活動を取り入れることが大切である。 第3学年では,重さの単位(グラム(g) ,キログラム( kg) )と測定について指導 する。 角の大きさは,回転の大きさとしてとらえられる。第4学年では,角の大きさの単 位(度(°) )と測定について指導 する。なお,形としての角については,第3学年 の「C図形」領域の内容である。 --45/63-- -43- 人口密度や速さなど,異種の二つの量の割合としてとらえられる量は,第5学年と 第6学年で指導する。人口密度は,人数と面積という二つの量の割合として表すこと ができる量であり,単位面積当たりの人数としてとらえられる。第6学年で指導する 速さは,長さと時間という二つの量の割合として表すことができる量であり,単位時 間当たりに進んだ長さと してとらえられる。 イ 量の意味と性質 量とはものの大きさを表すものである。 ものの個数は,数えることなどを通して整数で表すことができる。一方,ひもの長 さや水の重さなどのような量の大きさは,いくらでも細分することができるものであ り,必ずしも整数で表せ るとは限らない。 量には,長さ,面積,体積,重さ,角の大 きさ,速さなど,い ろいろな種類がある。 それぞれの量を指導する最初の場面では,具体物などの量の大きさを比較する活動を 行うことが大切である。実際に比較する活動を通して,どのようなものの量を比べよ うとしているのか,その量がどのような大きさであるのかがとらえやすくなり,次第 に量の意味が明らかになってくるからである。また,ものの大小を比較するときは, 大小を表す言葉を用いるようにすると,量の意味がとらえやすくなる。例えば,長さ については「長い,短い」という。また,面積では「広い,狭い」 ,体積では「大き い,小さい(多い,少ない) 」 ,重さでは「重い,軽い」 ,角の大きさでは「大きい, 小さい」 ,速さでは「速い,遅い」 などといって,量の大きさの大小を表すことがで きる。 長さ,面積,体積,重さ,角の大きさなど の量については,次のような性質がある。 体積を例にあげる。ある容器に2リットルのジュースが入っているとする。これを 別の形をした容器に移したり,幾つかの容器に分けたりしても,ジュースの体積(2 リットル)は変わらない。このように,ものの 形を変形したり,幾つかに分割したり, 位置を動かしたりしても,そのものの量の大きさは変わらない。このような性質を, 量の保存性ということがある。 量の保存性を基にすると, 量の加法性が確かめられる。 例えば, 300 g の粘土と 500 g の粘土を合わせると,粘土の重さは 800 g になる。これは,重さの加法性である。 --46/63-- -44- また,平行四辺形の一部を切り取って二つにして,それらを組み合わせて長方形を 作ったとき,はじめの平行四辺形の面積と,あとの長方形の面積は同じであると説明 できる。ここでも,量の保存性や,量 の加法性が使われているのである。 ウ 量の大きさの比較 基本的な性質をもつ量の測定の指導では,一般に,直接比較,間接比較,任意単位 による測定,普遍単位による測定とい う指導の段階が考えられる。 直接比較では,二つの大きさを直接に比較する。例えば,2本の鉛筆AとBの長さ を比較するとき,一方の端をそ ろえて,他方の端の位置によっ て大小判断をする。 間接比較では,AとBの大きさをそれと等しい別のものに置き換えて,間接的に比 較する。例えば,机の縦と横の長さを紙テープの長さに置き換え,紙テープに写した 長さを比較して大小判断をする。 直接比較や間接比較をすることで,具体的なものの属性のうち,比べようとしてい る量は何なのかが明確になる。 任意単位による測定では,AとBの大きさを,それと同種の量の幾つ分という数値 に置き換えて比較する。例えば,机の縦と横の長さを鉛筆の長さの幾つ分かに置き換 え,縦が四つ分,横が六つ分であれば,横は縦より鉛筆二つ分だけ長いなどと大小判 断をする。このように数値化することにより,大きさの違いを明確に表して比べるこ とができるようになる。 単位については,量を数値化するだけならば任意に設けたものでよいが,社会では 単位の大きさが誰にも的確に分かる必要があるので,共通なものが必要になるという ことも理解させる。そこで普遍単位による測 定では,AとBの大きさを,全国(世界) で共通の普遍単位を用い て比較するのである。 エ 量の単位 単位とは,大きさを表すのに用いる ,基になる大きさである。 ものの大きさは,単位の幾つ分(何倍)という形で表すことができる。例えば,長 さの3mは,1mの三つ分の大きさであるし,体積の リットルは,1リットルの 2 3 --47/63-- -45- 倍の大きさである。 体積の単位である立方メートル( m 3 )は,長さの単位であるメートル(m)を基に して作られたものである。 1立方メートルは, 一辺が1メートルの立方体の大きさ (体 積)である。基になる単位からかけたり割ったりして作られた単位のことを組立単位 と呼ぶことがある。速さや人口密度などの単位も,異種の二つの量の割合として表さ れるものであり,組立単位の例である。 単位は自由に決めることができるが,多くの人が社会で共通に使っている単位を用 いるのが便利である。それらを,普遍単位と呼んだり,共通単位と呼んだりすること がある。長さのメートル(m)や,体積のリ ットル(l)などは普遍単位の例である。 そうした単位については,日本では計量法という法律によって定められている。国際 的には「国際単位系」というル ールによって定められている。 オ 量の測定 測定とは,量の大きさを調べ たり求めたりすることである。 測定のために,計器を用いることがある。長さの測定には,ものさしや巻き尺など を用いるし,液体の体積の測定には,計量カップなどを用いる。測定しようとするも のの大きさによって,適切な単位を選んだり,計器を選んだりできるようにすること が大切である。 平面図形の面積を表すときにも,平方センチメートル( cm 2 )などの単位の幾つ分 (何倍)という形で表す。面積を求めるときには,計器を用いるのではなく,図形の 辺の長さなどを用いて,計算によって求めることになる。立体図形の体積を求めると きも同様である。 カ 量の大きさについての感覚 量と測定の指導のねらいの一つに,量の大きさの感覚を豊かにすることがある。い ろいろな量の大きさについての量感をもったり,豊かな感覚を適切に働かせたりする ことができるようにすることが大切である。例えば,長さを例にとれば,次のような ことがあげられる。 ・鉛筆を見て「長さはだいたい 20 cm ぐらい」というように,長さの見当付けがで 2 3 --48/63-- --48/63-- -46- きること。 ・測る対象に応じて, 「この物を測るには, 30 cm のものさしがよい」などと適切 な単位や計器の選択ができること。 ・例えば「1 mはこれぐらい」などと,基本的な単位の量の大きさについて,お よその大きさを示せること。 ・例えば1円硬貨の直径は2 cm など,身近な具体物を基に して量の大きさを示せ ること。 指導に当たっては,様々な具体物について大きさを調べたり,確かめたりする作業 的・体験的な活動を積極的に取り入れて,量の大きさについての感覚を豊かにするよ う配慮することが大切である。また,様々な場面での比較や測定の活動を行うことが 有効である。 C図形 (1) 「C図形」の領域のねらい この領域では,平面図形と立体図形の意味や性質について理解し,図形についての 感覚を豊かにするとともに,図形の性質を見いだしたり説明したりする過程で数学的 に考える力や表現する力を育てること を主なねらいとしている。 図形についての感覚としては,ものの形を認める感覚や,形の特徴をとらえたり性 質を見付けたりする感覚などがある。 図形についての観察や構 成などの活動を通して, 図形についての感覚を豊かにす ることが大切である。 (2) 「C図形」の内容の概観 各学年の主な内容を整理して みると,次の表のようになる。 学年 図形についての理解 図形を構成する要素 図形の見方や調べ方 第1学年 ・身の回りにある ・観察や構成などの活動 ものの形 ・前後,左右,上下などの言 葉 第2学年 ・三角形,四角形 ・直線, 直角, 頂点, ・観察や構成などの活動 ・正方形,長方形, 辺,面 ・構成要素に着目する --49/63-- -47- 直角三角形 ・辺の長さを調べる ・箱の形をしたもの ・直角に着目する 第3学年 ・二等辺三角形, ・角,中心,半径, ・観察や構成などの活動 正三角形 直径 ・構成要素に着目する ・円,球 ・辺の長さを比べる ・角の形に着目する 第4学年 ・平行四辺形, ・対角線,平面 ・観察や構成などの活動 ひし形,台形 ・直線などの平行や垂直の関 ・立方体,直方体 係 ・見取図や展開図をかく ・ものの位置を表す 第5学年 ・多角形や正多角形 ・底面,側面 ・観察や構成などの活動 ・角柱や円柱 ・図形の合同 ・図形の性質を見いだす ・直径と円周の関係 (円周率) ・見取図や展開図をかく 第6学年 ・観察や構成などの活動 ・縮図や拡大図 ・対称な図形(線対称,点対 称) 第1学年では,図形についての理解の基礎となる経験を豊かにすることをねらいと して,ものの形を認めたり,形の特徴 をとらえたりすることを指導する。 第2学年では,図形を構成する要素に着目して,三角形や四角形などの図形につい て理解できるようにする。 第3学年では,図形を構成する要素に着目して,二等辺三角形や正三角形などの図 形について理解できるようにする。 第4学年では,図形の構成要素及びそれらの位置関係に着目し,平行四辺形やひし 形などの平面図形及び直方体な どの立体図形について理 解できるようにする。 第5学年では,図形の性質を見いだし,それを用いて図形を調べたり構成したりす るなどして平面図形についての理解を深めるとともに,角柱などの立体図形について 理解できるようにする。 --50/63-- -48- 第6学年では,縮図や拡大図,対称な図形について理解し,図形についての理解を 深めるようにする。 (3) 主な内容の解説 @ 図形についての理解 ア 平面図形 第1学年では,身の回りにあるものの形の観察や構成などの活動を行い,ものの形 を認めたり,形の特徴をとらえたりすることを指導する。ものの形について,児童が 例えば, 「さんかく」 , 「しかく」 , 「まる」などと呼んだり,その特 徴を調べたりでき るようにする。 第2学年では,図形を構成する要素に着目しながら,三角形,四角形などの図形に ついて理解できるようにする。例えば,3本の直線で囲まれた図形を三角形,4本の 直線で囲まれた図形を四角形ととらえられるようにする。また,四つの辺の長さが等 しく,四つの角が直角であるような四角形を正方形ととらえられるようにする。この ほかに,平面図形としては,長方形, 直角三角形について指導する。 第3学年では,図形を構成する要素に着目しながら,二等辺三角形,正三角形,円 について理解できるようにする。二等辺三角形は,二つの辺の長さが等しい三角形で ある。二等辺三角形を二つに折ると,二つの角がぴったりと重なることが確かめられ る。このような活動を通して, 図形のもつ性質についても着目 できるようにする。 第4学年では,直線の平行や垂直の位置関係について理解できるようにする。それ によって,児童がすでに学習してきた正方形,長方形などの図形について振り返り, 理解を深めることができる。また,平行四辺形,ひし形,台形について指導し,それ らの図形の性質について調べられるようにする。対角線という用語についても指導す る。 第5学年では,多角形や正多角形について指導する。児童がすでに学習してきた正 三角形,正方形も,正多角形であるととらえられる。また,二つの図形の形と大きさ が等しいという,図形の合同のとらえかたについて理解できるようにする。さらに, 三角形については三つの 角の大きさの和が 180 ゜になり,四角形については四つの角 の大きさの和が 360゜になるという性質があるが,そう した性質を見いだしたり,そ --51/63-- -49- の理由を説明したりする ことを指導する。 第6学年では,縮図や拡大図,対称な図形について理解しできるようにする。例え ば,児童がすでに学習してきた二等辺三角形,正方形などは線対称な図形であり,ま た平行四辺形などは点対称な図形である。そうした見方によって平面図形についての 理解を深めるようにする。 イ 立体図形 第1学年では,身の回りにあるものの形の観察や構成などの活動を行い,ものの形 を認めたり,形の特徴をとらえたりすることを指導する。身の回りにある立体につい て,児童が例えば, 「箱の形」 , 「ボールの形」などと呼んだり,その 特徴を調べたり できるようにする。 第2学年では, 箱の形をしたものについて指導する。また,頂点,辺,面という 用語も指導する。 第3学年では,立体図形としては,球について指導する。平面図形の円と比べなが ら,球の中心,半径,直 径についても指導する。 第4学年では,立方体,直方体について指導する。直方体に関連して,直線や平面 の平行や垂直の関係について理解できるようにする。また,直方体,立方体の見取図 や展開図をかくことを指導する。 第5学年では,角柱や円柱について指導する。また,角柱,円柱の見取図や展開図 をかくことを指導する。底面,側面と いう用語についても指導する。 第6学年の「C図形」の領域では,立体図形の内容は示していないが, 「B量と測 定」 の領域で, 角柱及び円柱の体積の求め方を考 えることを指導することとしている。 A 図形を構成する要素 平面図形や立体図形を構成する要素に着目することにより,図形について理解でき るようになる。 第2学年では,直線,直角,頂点,辺,面について指導するが,これらは平面図形 や立体図形を構成する要素である。また,これらの要素を基にして児童が実際に図形 を構成したり,図形の意味などを説明したりできるようにする。例えば,3本の棒な どの具体物を用意して,三角 形を作ることができる。そ うした活動を行うことで, 「3 --52/63-- -50- 本の直線で囲まれた図形を三角形という」などの説明がしやすくなるし,また図形の 意味がとらえやすくなる。 第3学年では,図形の構成要素である辺の長さを調べることにより,二辺が等しい 三角形を二等辺三角形といい,また三辺が等しい三角形を正三角形というといった図 形のとらえ方が理解できるようになる。また,紙で作った二等辺三角形を二つに折る などの活動を通して,二つの角の大きさが等しいという図形の性質を見いだせるよう になる。ここでも,角という図形の構成要素に着目しているのである。同じく第3学 年では,円の中心,半径,直径という 構成要素について指導する。もしも「半径が5 cm の円をかきなさい」と表現すれば,誰もが同じ大きさ,同じ形の図形をかけるように なる。 第4学年では,対角線という用語を指導し,平行四辺形,ひし形,台形の性質を対 角線に着目しながら調べることができるようにする。例えば,ひし形については,2 本の対角線が垂直に交わるとい う性質を見付けることができる。 同じく第4学年では, 立方体や直方体と関連して,直線や平 面の位置関係について指導する。 第5学年では,角柱や円柱に関連して,底面,側面という用語を指導する。底面, 側面という構成要素に着目することによって,角柱や円柱の展開図をかくことができ るようになる。 B 図形の見方や調べ方 ア 図形の観察や構成 各学年における図形の内容では,観察や構成などの活動について示されている。観 察や構成などの活動を通して,図形の意味を理解したり,図形の性質を見付けたり, 図形の性質を確かめたりするこ とができるようになる。 第1 学年では,身の回りにある具体物など様々 なものを観察して,ものの形を認め たり,形の特徴をとらえたり,自分たちで名前を付けたりできるようになる。また, 積み木や箱などの立体を用いて ,身の回りにある具体物 を作ることを指導する。 第2学年では,身の回りのものの中から,三角形,四角形,正方形,長方形,直角 三角形の形をしたものを取り出してみる。そして,格子状に並んだ点を線でつないだ り,ひごを並べたり,紙を折ったり切ったり,色板を並べたりする活動を通して図形 --53/63-- --53/63-- -51- を構成する。 第3学年では,二等辺三角形,正三角形,円について,定規やコンパスによる作図 を指導する。また,二等辺三角形,正三角形によって敷き詰められた模様や,円によ って作られた模様の観察を通し て,それらの図形を指導する。 第4学年では,平行四辺形,ひし形,台形などの四角形を観察することを通して, 共通の性質を持つ図形に分類したり,それぞれの性質を調べたりする。また,図形の 定義(約束)や性質を基にして,定規やコンパスを使って作図することを指導する。 第5学年では,辺の長さや角の大きさに着目し,合同な図形を作図することを通し て,平面図形についての理解を 深める指導をする。 第6学年では,縮図や拡大図,図形の対称性という観点から,これまで学習してき た図形を観察し,見直すことを通して ,図形に対する感覚を豊かにする。 図形を実際に構成する具体的な活動には,紙を折ったり,切ったり,図形を移動さ せたり,切り離したり,変形したり,定規やコンパスを用いて作図したりするなどの 活動がある。これらの活動は,図形学習における作業的・体験的な活動の例である。 こうした活動の意義としては次 のようなことが考えられる。 ・図形の意味や用語などの理解の助けとなる。例えば,二等辺三角形の作図を通し て,二つの辺の長さが等し いことが理解できる。 ・図形に関する問題解決の際に,問題を把握したり,解決の見通しを立てたりする ことができる。例えば,ドアを開くとき, ドアにぶつからない範囲を考える場合, 半径を基に円を構成する活動を通 して解決することができる。 ・図形の性質などを発見したり, それを確かめたり, 表現したりすることができる。 例えば,四角形の四つの角の大きさの和を求める場合,三角形に分解して,考え ることができる。 ・図形の性質を,生活や学習の中に生かすことができる。例えば,窓枠の横の長さ を測る場合,長方形の性質を活用して ,下側を測ることで解決できる。 ・知識を獲得したり,技能に習熟したり維持したりすることができる。例えば,コ ンパスを用いて,円で作られた模様をかくとき,円周はその円の半径で6分割で きることに気付くとともに ,コンパスの使用に習熟する。 --54/63-- -52- ・図形を考察する観点や方法を習得することができる。例えば,ひし形に対角線を ひくことで,対角線を軸として線対称 な図形であることが考察できる。 なお,図形を構成するなどの活動を行うことは,児童にとっては楽しいものである が,児童が活動のねらいをもち,目的に応じて活動したり,明らかになったことをま とめたり確かめたりできるよう 配慮することが大切である。 イ 図形の性質を見いだし説明すること 第2学年では,正方形について, 「大きさは様々なものがある が,形はすべて同じ」 , 長方形については, 「対辺の長さが等しい」と いう性質を指導する。 第3学年では,二等辺三角形について, 「二つの角の大きさが等しい」 ,正三角形 について, 「三つの角の大きさが等しい」 という性質を指導する。 第4学年では,平行四辺形について, 「対辺の長さや対角の大きさがそれぞれ等し い」 ,ひし形について, 「対辺がそれぞれ平行である,対角の大きさがそれぞれ等し い,対角線が互いに垂直に交わ り他を二等分する」とい う性質を指導する。 第5学年では,三角形や四角形の性質を見いだし説明することを通して,論理的な 考えを育成することが大切である。 論理的な考えには,幾つかの具体的な例に共通する一般的な事柄を見いだすという 帰納的な考え,既習の内容との類似性に着目して新しい事柄を見いだすという類推的 な考え,すでに正しいことが明らかになっている事柄を基にして別の新しい事柄が正 しいことを説明していくという 演繹的な考えがある。 例えば,四角形の四つの角の大きさの和を考えるときに,三角形の三つの角の大き さの和を求めるときいろいろな三角形をかいて調べたことを思い出して,同じ方法が 使えないかと考えたり,長方形や正方 形の四つの角の大きさの和が 360 ゜であるから 一般の四角形も 360゜であろうと考えるのは類推的な考 えである。実際にいろいろな 四角形をかいて四つの角 の大きさの和を調べて 360゜であることを見いだすことは, 帰納的な考えである。三角形の 三つの角の大きさの和が 180 ゜であることを基に四角 形が三角形二つに分割されることから 180 ゜の2倍であると考えるのは演繹的な考え である。 なお,論理的な考えの育成は,各学年, 各領域を通して行われるものである。 --55/63-- -53- 第6学年では,線対称と点対称の観点からこれまで学習してきた図形を見直すこと を指導する。 ウ 見取図や展開図をかくこと 第2学年では,箱を切り開いたり,切り開いた形から箱を組み立てたりして立体図 形は平面図形によって構成されていることや面と面のつながり方に着目できるように 指導する。 第4学年の直方体や立方体の指導では,これらの立体の観察を通して,見取図を基 に頂点,辺,面やそれらの位置関係に着目したり,立体図形の頂点,辺,面と展開図 との対応関係を正しくとらえることができるようにする。その際,見取図や展開図を かく活動を取り入れ, 立体図形を平面上に表現すること のよさが分かるよう指導する。 第5学年の角柱,円柱の指導では,見取図や展開図を用いて,立体図形の性質につ いての理解を深めるように指導する。 エ 図形の形と大きさのとらえ方 第5学年では,図形を形と大きさの観点から考察することを通して合同について指 導する。 第6学年では,図形を形は同じで大きさが違うという観点からとらえ,縮図や拡大 図について,対応する角の大きさや辺の長さの比に着目して図形の関係を指導する。 また,線対称な図形や点対称な図形を指導する。線対称な図形とは,ある直線を折 り目として折ったとき,ぴったり重なる図形をさす。二等辺三角形,正三角形,正方 形,長方形,ひし形は線対称な図形である。点対称な図形とは,一つの点を中心にし て180゚回転したときに重なり合う図形をさす。正方形,長方形,ひし形,平行四辺 形は点対称な図形である。 D 数量関係 (1) 「D数量関係」の領域のねらい この領域のねらいは, 「A数と計算」 , 「B量と測定」及び「 C図形」の各領域の内 容を理解したり,活用したりする際に用いられる数学的な考え方や方法を身に付ける こと,また,数量や図形について調べたり,表現したりする方法を身に付けることで --56/63-- -54- ある。今回の改訂では,言葉,数,式,図, 表,グラフなどを用い た思考力,判断力, 表現力等を重視するため,低学年から「D数量関係」の領域を設け,各学年において 充実を図っている。 この領域では「関数の考え」 , 「式の表現と読み」及び「資料の整理と読み」が主 な内容となっている。また,それらにおいて,数量やその関係を数,式,図,表,グ ラフなどに表したり調べたり,言葉を用いて表したり調べたり,判断したり,説明し たりすることができるようにすることが大切である。特に低学年で「D数量関係」の 領域を設けるに当たっては,従前の「A数と計算」の領域に位置付けられていた内容 のうち, 「式の表現と読み」及び「資料の整理 と読み」に関する内容を「D数量関係」 の領域に移すことによって,そ の整理と充実を行っている。 関数の考えとは,数量や図形について取り扱う際に,それらの変化や対応の規則性 に着目して問題を解決していく考えである。特に,伴って変わる二つの数量の関係を 考察し,特徴や傾向を表したり 読み取ったりできるようにする ことが大切である。 また, 「式」は,算数の言葉とも いわれるように,事柄やその関係などを正確に分 かりやすく表現したり,理解したりする際に重要な働きをするものである。また,式 を読み取ったり,言葉や図と関連付け て用いたりすることも大切である。 資料の整理と読みについては,目的に応じて資料を集めて分類整理したり,それを 表やグラフなどに分かりやすく表現したり,特徴を調べたり,読み取ったりすること ができるようにすることが大切である。また,目的に応じて表やグラフを選んだり, 関連付けて用いたり,読み取ったり, 活用したりすることも大切である。 (2) 「D数量関係」の内容の概観 各学年の主な内容を,関数の考え,式の表現と読み,資料の整理と読みに分けて整 理してみると,次の表のようになる。 (第1学年から第3学年の「関数の考え」で示 しているのは「A数と計算」の 領域の関連する内容) 学年 関数の考え 式の表現と読み 資料の整理と読み 第 ・ものとものとの対応 ・加法及び減法の式の表 ・ものの個数を絵や図な 1 ・数の大小や順序 現とその読み どを用いて表したり読 学 ・一つの数をほかの数の み取ったりすること --57/63-- -55- 年 和や差としてみること 第 ・数の大小や順序 ・加法と減法の相互関係 ・身の回りにある数量を 2 ・一つの数をほかの数の ・乗法の式の表現とその 分類整理し,簡単な表 学 積としてみること 読み やグラフを用いて表し 年 ・乗数が1ずつ増えると ・ ( )や□などを用い たり読み取ったりする きの積の増え方 た式 こと 第 ・乗数又は被乗数が0の ・除法の式の表現とその ・資料を分類整理し,表 3 場合を含めての,乗数 読み やグラフを用いて分か 学 が1ずつ増減したとき ・数量の関係を式に表し りやすく表したり読み 年 の積の変化 式と図を関連付けるこ 取ったりすること と ・棒グラフの読み方やか ・□などを用いた式 き方 第 ・二つの数量の関係と折 ・四則の混合した式や ・資料を二つの観点から 4 れ線グラフ ( )を用いた式 分類整理して特徴を調 学 ・公式についての考え方 べること 年 と公式の活用 ・折れ線グラフの読み方 ・□,△などを用いた式 やかき方 ・四則に関して成り立つ 性質のまとめ 第 ・簡単な場合についての ・数量の関係を表す式 ・百分率 5 比例の関係 ・資料の分類整理と円グ 学 ラフや帯グラフ 年 第・比 ・文字a ,x などを用いた ・資料の平均 6 ・比例の関係を式,表, 式 ・度数分布を表す表やグ 学 グラフを用いて調べる ラフ 年 こと ・起こり得る場合を調べ ・比例の関係を用いて, ること 問題を解決すること ・反比例の関係 第1学年では,加法及び減法の式の表現とその読みについて指導し,また,ものの 個数の絵や図などを用いた表現 とその読みについて指導する。 第2学年では,加法と減法の相互関係について式を用いた表現とその説明,乗法の --58/63-- --58/63-- -56- 式の表現とその読みについて指導し,また,身の回りにある数量の分類整理,簡単な 表やグラフを用いた表現とその 読みについて指導する。 第3学年では,除法の式の表現とその読み,数量の関係を表す式と図との関連付け や,□などを用いた式の表現について指導する。また,表や棒グラフを用いた表現と その読み取りについて指導する。 第4学年では,伴って変わる二つの数量の関係の折れ線グラフを用いた表現と特徴 の読み取りについて指導する。また,数量の 関係を表す式についての理解と活用,□, △などを用いた式の表現について指導する。また,目的に応じた資料の収集と分類整 理,表や折れ線グラフを用いた 表現と特徴を調べること について指導する。 第5学年では,簡単な場合についての比例の関係を表を用いて考察することについ て指導する。また,簡単な式で表されている数量の関係について指導する。また,百 分率についての理解,目的に応じた資料の収集と分類整理,円グラフや帯グラフを用 いた表現と特徴を調べる ことについて指導する。 第6学年では,比,比例の関係について式, 表,グラフを用いて特徴を調べること, 比例の関係を用いた問題解決,反比例の関係について指導する。また, a ,x などを 用いて式に表すことを指導する。また,資料の平均や散らばり,起こり得る場合を順 序よく整理して調べるこ とについて指導する。 (3) 主な内容の解説 @ 関数の考え 関数の考えとは,数量や図形について取り扱う際に,それらの変化や対応の規則性 に着目して問題を解決していく考えである。関数の考えによって,数量や図形につい ての内容や方法をよりよく理解したり,それらを活用したりできるようにすること, また,伴って変わる二つの数量の関係を考察し,特徴や傾向を表したり読み取ったり できるようにすることが 大切なねらいである。 関数の考えを生かしていくために,次のようなことに配慮することが大切である。 第一に,ある場面での数量や図形についての事柄が,ほかのどんな事柄と関係する かに着目することである。例えば,ある数量が変化すれば,ほかの数量が変化するの かどうか。ある数量が決まれば,ほかの数量が決まるのかどうか。ある図形の要素な --59/63-- -57- どが決まれば,ほかの要素や事柄が決まるのかどうか。そうした関係に着目すること で,二つの事柄の間の依存関係を調べることができるようになる。これが,関数の考 えの第一歩である。その際,考察の対象となる事柄の範囲を明確にすることも大切で ある。 第二に,二つの事柄の変化や対応の特徴を調べていくことである。伴って変わる二 つの数量の間には,変化の規則性などの関係を見付けられることがある。数量やその 関係を言葉,数,式,図,表,グラフを用 いて表し,そのよう に表現されたものから, さらに詳しく変化や対応の規則 性の様子を読み取ること もできるようになる。 第三に,上のようにして見いだした変化や対応の規則性を,様々な問題の解決に活 用し,その思考過程や結果を表現した り,説明したりすることである。 第1学年から第3学年では,ものとものとを対応付けたり,一つの数をほかの数の 和や差としてみたり,一つの数をほかの数の積としてみたり,乗数が1ずつ増えると きの積の増え方の様子に着目し たりすることができるように指 導する。これらは, 「A 数と計算」の領域の関連する内容であ り,ここに関数の考えが見られる。 第4学年では, 身の回りの事象の中から伴って変 わる二つの数量の関係を見いだし, それらの数量の間の関係を表や折れ線グラフを用いて表したり,特徴を読み取ったり することを指導する。 第5学年では,伴って変わる二つの数量の関係として,簡単な場合についての比例 の関係を表を用いて考察 することを指導する。 第6学年では,比について理解できるようにしたり,伴って変わる二つの数量の関 係としての比例の関係について,式,表,グラフを用いて特徴を調べたり,比例の関 係を用いて問題を解決したりす ることや,反比例の関係 について指導する。 A 式の表現と読み 日常の事象の中に見られる数量やその関係などを表現する方法として,言葉,数, 式,図,表,グラフがある。その中でも式は,事柄や関係を簡潔,明瞭,的確に,ま た,一般的に表すことができる優れた表現方法である。式の指導においては,具体的 な場面に対応させながら,事柄や関係を式に表すことができるようにする。さらに, 式を通して場面などの意味を読み取り言葉や図を用いて表したり,式で処理したり考 --60/63-- -58- えを進めたりすることが大切である。さらに,式を,言葉,図,表,グラフなどと関 連付けて用いて自分の考えを説明したり,分かりやすく伝え合ったりできるようにす ることが大切である。 式には,2+3,□×5, x −5などのような式と,2+3=5,□×3= 12,a ×b =b ×aなどのような等号を含む 式がある。また, (単価)×(個数)=(代 金)のような「言葉の式」もある。最初の例 については,例えば 2+3 という式が, ある場面での数量についての 事柄を表しているという見方ができることが大切であ る。また,等号を含む式について は,例えば □+3=△, x +3=8 という式が, ある場面での数量の関係を表し ているという見方ができ ることが大切である。 式ではこのほかに, ( )などを用いて表したり,複数の 事柄を一つの式(総合式) で表したりすることもある。 式には,次のような働きがある。 (ア) 事柄や関係を簡潔,明瞭,的確に, また,一般的に表すことができる。 (イ) 式の表す具体的な意味を離れて ,形式的に処理することができる。 (ウ) 式から具体的な事柄や関係を読み取ったり,より正確に考察したりすることが できる。 (エ) 自分の思考過程を表現することができ,それを互いに的確に伝え合うことがで きる。 次に,式の読み方として,次 のような場合がある。 (ア)式からそれに対応する具 体的な場面を読む。 (イ)式の表す事柄や関 係を一般化して読む。 (ウ)式に当てはまる数の範囲を,例えば,整数から小数へと拡張して,発展的に読 む。 (エ)式から問題解決などにお ける思考過程を読む。 (オ)数直線などのモデルと対 応させて式を読む。 このような式について,第1学年では,加法及び減法が用いられる場面を式に表し たり式を読み取ったりすることを指導する。例えば, 「3人で遊んでいるところに4 人来ました。 」という場面を,3+ 4の式に表すなどの指導をしている。しかし,こ --61/63-- -59- うした式は計算をしてすぐに一つの数になってしまうことから,3+4という式が具 体的な事柄を表しているという見方がしにくいことがある。結果を求めることだけに 終わるのではなく,式の表す意味に注 目できるような配慮が必要である。 第2学年では, 加法と減法の相互関係について式 を用いて説明できるようにしたり, 乗法が用いられる場面を式に表したり式を読み取ったりすることを指導する。今回の 改訂で□などや文字を用いて式に表すことを指導することになったが,第2学年では 「内容の取扱い」の(2)に,従前通りに,数をかく場所を表す□などを指導すること が示されている。 第3学年では, 除法が用いられる場面を式に表し たり式を読み取ったりすることや, 数量の関係を表す式と図を関連付けたり,文字としての役割をもつ□などを用いて式 に表したりすることを指導する。例えば除法の学習の際に ,12÷3の答えを3×□ =12の□に当てはまる数としてとらえる場合に 用いられる□などのことである。 第4学年では,数量の関係を表す式について理解し用いたり,文字としての役割を もつ□,△などを用いて式に表 したりすることを指導する。 第5学年では,簡単な式で表されて いる数量の関係について指導する。 第6学年では, a , x などの文字を用いて式に表 すことを指導する。 B 資料の整理と読み 目的に応じて資料を集めて分類整理したり,それを表やグラフなどを用いて分かり やすく表現したり,特徴を調べたり,読み取ったりできるようにすることがここでの ねらいである。そうした活動を通して,的確な判断をしたり合理的な予測をしたりし ようとする態度を育てることも大切である。それは,多くの情報があふれる現代の社 会の中にあって,特に重要な意味をもつものである。このように算数が活用されるこ とに気付くことによって,算数の価値 を実感できることにもなる。 目的に応じて資料を集めて分類整理し,表現したり,読み取ったりする能力を伸ば すためには,次のような一連の活動を通して学習し,それぞれの活動で用いられる知 識及び技能,考え方や表現の仕方,活用の仕方を児童が身に付けられるよう配慮する ことが大切である。 (ア) 目的を明確にし,それに沿った 資料を収集するようにする。 --62/63-- -60- (イ) 資料を分類整理し,それを表やグラフを用いて表したり,百分率や平均などを 求めたりして,資料の特徴 や傾向を読み取る。 (ウ) これらの資料の特徴や傾向に着目することによって,事柄の判断や予測をした り,様々な問題の解決に活用し,その思考過程や結果を表現したり,説明したり する。 このような資料の整理と読みについて,第1学年では,ものの個数を知り,比べる ために,具体物を用いて,また,絵や図などを用いて表したり,読み取ったりするこ とを指導する。 第2学年では,身の回りにある数量を分類整理し,簡単な表やグラフを用いて表し たり,読み取ったりする ことを指導する。 第3学年では,資料を分類整理し,表や棒グラフを用いて分かりやすく表したり読 み取ったりすることを指導する。 第4学年では,目的に応じて資料を集めて分類整理し,表や折れ線グラフを用いて 分かりやすく表したり,特徴を 調べたりすることを指導する。 第5学年では,百分率を基に全体の中での割合に注目して,円グラフや帯グラフを 用いて表したり,特徴を調べたりすることを指導する。また,目的に応じて表,棒グ ラフ,折れ線グラフ,円グラフ,帯グラフを選んだり,関連付けて表したり,読み取 ったり,判断したりするなど, 活用することに取り組む ことが大切である。 第6学年では,資料の平均や散らばりを調べたり,度数分布を表す表やグラフを用 いて表現したり,統計的に考察したりすることを指導する。また,具体的な事柄につ いて,起こり得る場合を順序よく整理 して調べることについて指導する。 --63/63--