研究テーマとその考え方

研究テーマ趣旨説明 2010年度版

平成21年3月に新学習指導要領が告示され、情報科は「社会と情報」と「情報の科学」の二科目に再編される。 「情報活用の実践力」を中心にしてきた情報Aは、情報化の社会への浸透もあって中学校の段階で履修されてきたものとされ、新しい二科目に吸収されその姿を消す。情報Bは「情報の科学的な理解」を、情報Cは「情報社会へ参画する態度」をそれぞれ重視し深めることで、新しい科目へと発展的に姿を変える。

科目名称は、これまでのABCといった記号的なものから、内容の性格をより分りやすく表現したものに変更された。しかしそれは教員にとって、科目の特性により十分な配慮をした授業を行うことが求められるということを意味する。つまり、科目の目標を的確に把握し、生徒が確実に到達できるような具体的な学習活動を考え適切に導くといった、教育のプロとして当たり前の力量が問われるということである。教科の専門性(知識や技術)も広く深く求められ、情報化の進展に絶えず遅れをとらないような努力も求められる。

平成15年度に走り出した情報科ではあるが、スタートラインを本当に通り過ぎることができているのかと不安に感じることも少なくはない。例えば、マスコミの報道においては未だに、「ワープロや表計算ソフトの操作の仕方を教えている。」といった批判を目にする。また、生徒に達成感を安直に与えようとするあまり、打ち込んだ文字数や文書が完成するまでの所要時間などで、生徒を評価してしまうような実態もある。本来は、何のためにワープロで文書を扱い、そのことでどのようなメリットが生まれてくるのかといった、情報に対するある種の本質的な理解が根本になければならないのに。

省みれば、既存の教科もそれに近いことがあるのではないだろうか。何のためにその問題に取り組むのかといった背景が説明されなかったり、そのことでどんな新しい視野が開けるのかといった見通しもなかったりする。そこにあるのはただ、解けたという漠然とした成功感であり、テストの得点数値によって序列付けられる達成感などであろう。もっとも、大学入試(センター試験)や資格検定といった分りやすい目標を目の前にしたとき、生徒も教員もそうした方向に走らざるを得ない場合があることは、高等学校が置かれた現状を斟酌すると理解できないことではない。

今の情報科はまだ、大学入試によってその性格をゆがめられるまでには至っていない。そればかりか、情報技術や情報への考え方を切り口として、ものごとを科学的に理解し社会に主体的に参画しようとする本来の目標は、他教科と関連しそれらを相互に結びつけるという意味において、学校教育の中で欠くべからざる要素としてますます重要にさえなっている。このような現状と平成25年度からの新学習指導要領を踏まえ、日々の授業実践の拠り所として次の研究テーマを提案する。

内容の精査、方法の拡充 (何を、どのように扱うかの探究)

科目の性格がこれまでよりも明確になったことで、何を授業のテーマとして取り上げるのかがより重要になる。そのためには、日常的に積極的な情報収集を行いながら、教材としてどのように取り込んでいくか研究する必要がある。それらが本当に情報科の目標に合致しているのかを吟味し、精査しなくてはならない。多くの素材を目指す授業へと収斂させる力が求められている。

一方で、これまでの授業の方法についても検討したい。ある目標に対して単純な授業形態で対応していては、多くの意味内容を含む情報科の授業を豊かにしていくことはできない。そこに、授業の方法を拡充する必要性がある。例えば、単位時間毎の細切れで授業構成をするのではなく、プロジェクト的な発想によってある期間を見通した授業構成をすることで、多くのテーマを有機的に結びつけた総合的な形で学習を行うことができる。単調になりがちな授業を多彩に展開する力が求められている。

以上のように、「教材研究と授業研究を、収束と拡張の両方向に探究する」ことをテーマに設定することで、間近に迫った新学習指導要領の実施に対応しながら、これからの研究を「生徒と教師の豊かな学習活動の創造」に方向付けたい。


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Last-modified: 2009-12-03 (木) 16:41:40 (3902d)