研究テーマとその考え方

平成28年(2016)年度研究テーマ趣旨説明文

指導と評価の一体化とは、「計画・実践・評価という一連の教育活動」を繰り返しながら、生徒のよりよい成長を目指した指導を展開することをいいます。これは、指導という一連の教育活動は、その中でいつも評価を効果的に行いながらなされるべきであるということです。この指導の中にある計画とは、学習目標を設定し、それをどのような授業で達成するのかを立案することと考えてよいでしょう。つまり、計画の中には、目標設定と授業計画という二つの要素が含まれていることになります。ここであらためて、指導と評価の一体化というときの指導を、次のような一連の教育活動の展開であると整理しておきましょう。

 目標設定→授業計画→授業実践(形成的評価・授業評価)→評価(総括的評価・授業評価)

このような展開の中で指導と評価の一体化を目指すために、授業実践の場面ごとにどのように評価を行うことが効果的であるかを考えます。そしてさらに、この展開をスパイラルに向上させるためには、展開の始まりと終わりが強い関連性を持ちながら連続していることが必要です。このことから、展開の始まりである目標設定と、展開の授業実践段階から終わりまで継続して行われる評価とを、授業実践を仲立ちにして一体化させることが求められます。本稿では、この結果として導出された方策を、今年度の研究テーマとして提案することとします。

ここで評価に係る用語について、認識を共有しておきましょう。まず、形成的評価は、授業の中で生徒が自らを振り返る(リフレクション)ことで、自分の解釈や価値観を更新したり軌道修正したりすることを促します。ですから教師は、生徒の学習活動を深化するために、この適切な形成的評価を継続的に行わなければなりません。また、このことは、教師の側の授業設計、ないしは授業の実践に向けた改善改良の材料を提供します。ですから教師は、このようにして生徒を評価するときには必ず自ら行う授業についても、自分が掲げる目標と生徒の実際の活動との齟齬を捉えて解消するために、授業評価という観点を忘れてはならないでしょう。

次に、総括的評価とは言うまでもなく、指導、つまり学習活動を総括して、学習目標の到達度を測るものです。この後に述べる観点別評価を適用しても、達成度はなかなか客観的に測れるものではないかもしれません。しかし、少しでも客観的な方法としての観点別評価を重ねて行うことで、その客観性が担保されるまでそれを高めていくことは可能でしょう。このことについてはまた、別に研究テーマとする機会があることを期待しておきます。

さて、このような展開を実現するためにこれまでも、目標と評価を相互に緊密なものにすることを目指して、観点別評価の研究や実践がなされてきました。情報部会でも昨年度は、「生徒も先生も、みんなが幸せになれる評価の研究」として研究テーマを掲げ、確かな学習目標から授業づくりを通して、評価規準をどのように位置付けるかを考えてきました。

このテーマの元では、目標設定を受けて行われた授業実践において、その途中あるいはその結果に対して行う評価を主に考えてきたのだと思われます。しかし、このような始まりから終わりに向けた一方向だけの検討議論だけでは、これから目指そうとしている指導と評価の一体化や、指導の展開をスパイラルに向上させていくことは望むことができません。これまでの研究活動を足掛かりにして、今後どのように考えて何をテーマに据えるべきなのでしょうか。

生徒の側から考えると、学習目標のもとに設定された妥当性のある評価規準によって、主体的な学習活動の中で適正に評価されることが学習への意欲に繋がります。ここでの、「妥当性」のある評価規準によって「適正に」評価するとは、どのようなことを指すのでしょうか。まず、評価規準の「妥当性」を判断するのは、教師でもあり生徒でもあります。評価というものは目標に対して行うものであり、目標は始めから教師と生徒との間で共有されているべきものだから、共有して相互に納得できていれば、それは「妥当性」があるということができます。

次に、教師と生徒とが互いに、行われた評価の妥当性を判断するためには、その評価規準の客観性が担保されていることが必要です。現状では、その評価規準が観点別であることを一つの拠り所として、評価の「適正」を主張せざるを得ません。つまり、教師と生徒との間で最初から、学習目標と評価規準とを共有した上で観点別評価を行うこと、このことが生徒の意欲的な学習にとって重要であるといえるのでしょう。

観点別評価といっても、いわゆる四観点を杓子定規に考えて、それぞれの観点毎に評価規準として具体化していくことは一般的に難しい作業であると考えられます。なぜならば、指導と評価の「一体化」を目指す以上は、指導と評価の関係は卵と鶏のように、前後関係の中で語られるべきものではなく「相互関係」の中で捉えられるべきものだからです。そうした相互関係の風景は幸いにも、授業の中で日常的に目にすることができます。設定した目標に沿った評価規準を設定し授業を行ったとしても、想定外の生徒の反応が飛び出したり、それによって授業があらぬ方向に進んでみたりすることは、私たちは経験的によくあることだと知っています。

もちろん想定外の授業展開となる場合も含めて、評価規準は継続的に見直していくことが必要であり、そのことで評価規準も結果として授業も、よりよいものに更新され続けていくことが可能になります。そしてここでは同時に、設定した目標の妥当性も合わせて検証されることが求められます。結果として、授業の実践を通して目標と評価が相互に磨き合うことで指導全体の中に評価が一体化し、一連の授業展開の質が、そして学習指導の質がスパイラルな向上を見ることができるでしょう。

最後に、「観点別評価」と「授業改善」の間の関係を確認しておきましょう。この両者の間には確かに、「観点別評価をするならば、授業は改善できる」というような因果関係はありません。しかし、指導と評価が一体化された場合だという前提の元では、相互関係は生まれます。ですから、その相互関係において、「観点別評価」と「授業改善」との間には有意の相関があるといえます。この意味において、「観点別評価をすることで授業改善できる」のは間違いなくいえるのだと思います。

以上の議論を踏まえてまして、平成28年度の研究テーマを提案します。

「観点別評価による授業改善」(指導と評価の一体化を目指して)


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Last-modified: 2016-03-30 (水) 10:15:57 (1593d)