研究テーマとその考え方

平成30(2018)年度研究テーマ趣旨説明文

学習指導要領が改訂され、2019 年度から先行実施されようとしています。中でも注目すべきは、「主体的・対 話的で深い学び」の重要性と共に、「プログラミングに関する教育」の充実が打ち出されていることです。小中学 校でも「プログラミング」という用語が何度となく現れています。日本の初等中等教育にとってはまさに、黒船襲来 とも言える出来事です。
しかし私たちは、このことをけっして受け身に捉えるのではなく、この機会を積極的に活用していくことを考えな ければなりません。生徒たちがその将来において必要とされる「汎用的な有用性を持つ力(ジェネリックスキル)」 は、本来さまざまな知的訓練を通じて獲得されるものですが、「プログラミング的思考」は中でも最も有効なスキ ルの一つであると考えられるからです。
小学校では、学習内容と関連付けながら、生活の中でコンピュータが活用されていることや、問題の解決には 必要な手順があることを。中学校では、特に技術家庭科の技術分野において、社会におけるコンピュータの役 割と影響の理解や、簡単なプログラムを作成できるようになることを。高等学校では、生涯にわたって情報や情 報技術を問題の発見と解決に活用することや、それによって科学的な理解や思考力を育むことを。
このように、プログラミングに関する教育が初等中等教育の中で一貫した形に描かれることによって、高等学校 の情報科は情報教育における中核的存在であることが示されたと言えます。そうである以上、私たちは目先の 「プログラミングができる」ことにばかり注目するのではなく、プログラミングの意味や効果などを深く考察した上で、本来的な学習活動のデザインに取り組まなければなりません。
そうは言っても、これまでにも課題が少なからず存在しています。情報科の教育は、コンピュータ(インターネッ ト)教育やプログラミング教育であるなどと言ってしまえるように単純なものではありません。もちろん、それらに関する知識やスキルは必要不可欠な要素ですが、それらは方法や手段であっても、それ自体が目的化されるもの ではありません。しかし、現行の学習指導要領の元で多くの学校では、プログラミングとは近いとは言えない位置 にある「社会と情報」を選択履修し、その内容もオフィス系ソフトウェアの操作方法を中心としていることが想像以 上に多いようです。
また、情報教育の目的が、「情報社会を支える産業界のIT人材を育成し、その裾野を広げていくこと」であると、 世の中で当たり前のように語られることに驚くことがあります。情報教育の本来的な意義を、教育に携わるかどう かを問わず、すべての人と社会全体とが当たり前のこととして理解していることが重要ですが、それはとても難し いという現実もあります。
一方で、これからの課題も見えてきました。改定される学習指導要領が私たちに求めるスキルは思いの外広く 深く、加えてさらに、情報デザインや情報コンテンツの制作、情報発信の基礎となるネットワークに関することなど 多岐にわたります。これ程の内容に応えようとすれば、単に知識やスキルを積み重ねるだけではなく、それらの 科学的な理解や深い洞察に基づいた根源的な学びの在り様に対して、私たちは真摯に真正面から取り組む必要があります。
人は日常的に問題解決を行っています。生きること自体が問題解決であると言っても過言ではありません。しかし、そのプロセスに対して自覚的に、主体的に取り組もうとする姿勢には欠けてしまう傾向があります。私たち は生徒と共に、意欲を持って創造的に問題を解決する経験を通して、情報社会に埋もれずに積極的に参画で きるような態度を育んでいく必要があります。
そのためには、まず私たち自身が生徒の目線に立つこと。その上で、日常的なさまざまな事象の中に問題を 発見し、曖昧で複雑な状況を整理して課題を明確にし、試行錯誤を繰り返しながら具体的な解決方法を獲得す ること。そうして、そのような経験から作成した教材を私たちの知見として共有し、さらに互いにブラッシュアップし、誰もがやってみたいと思える魅力ある授業の実践を積み重ねていく必要があるのです。
昨年度の研究テーマ「情報科リブート(新たな気持ちで授業づくりに向き合おう)」を受けて、私たちの決意をさ らに前へと進めましょう。生徒たちに今必要とされる学びを明らかにし、私たちの間で共有することで確かなもの へと磨き上げ、試行錯誤を通して学習過程のデザインを具体的なものへと昇華させる。そして、それらの蓄積を 相互にリンクさせることで、新学習指導要領に対応した力強い研究体制を築き上げる。一人では難しいかもしれ ない、でも、私たちそれぞれの力が合わされば可能になることが少なからずあるはずです。
以上を提案趣旨として、平成 30(2018)年度の研究テーマを次のように示します。

「学習活動をデザインする」研究開発の推進(問題解決への心の構え、個々からコミュニティへ)


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Last-modified: 2018-06-04 (月) 11:03:17 (797d)