令和5(2023)年度研究テーマ趣旨説明文~

 令和 4 年度入学生より平成 30 年度告示学習指導要領が適用され、共通教科「情報」では「情報I」の指導が 始まりました。「情報I」は令和7年度の大学入学共通テストで出題されることになり、学習指導要領に記載されている内容を押さえた指導の計画を立てる必要があります。また、授業のデザインにあたっては指導要録に記載する観点別学習状況の評価を考えなければなりません。これは、生徒が主体的に学習に取り組んだ学習活動を通して知識を身に付けるための思考・判断・表現する活動を取り入れた授業の計画、実践が求められることに他なりません。「何をどのようなレベルまで指導し、生徒は学習内容をしっかりと、どれだけ身につけることができたのか」というような、いわゆる教育の質の保証までが求められるようになったといえるでしょう。

 「情報I」の各単元には「社会と情報」や「情報の科学」の単元と同じ学習内容もありますが、新たに「情報デザイ ン」の単元が加わったり、「プログラミング」や「データの分析」などで指導内容が深くなったりしているものがあります。「プログラミング」や「情報システム」の単元にある「データベース」には専門的な知識が求められ、指導するのは容易ではありません。「データの分析」では表計算ソフトウェアを利用して統計処理を行う能力と、その結果からデータ分析する能力が求められます。このように、私たちは教材研究をしっかりと行う必要があります。もしかすると、今までは十分な時間をかけて指導することがあまりなかった単元もあったかもしれません。しかし、それでは今後、大学入学共通テストで生徒が不利益を被ることにもなりかねません。

 情報科の教員にとって、今回の学習指導要領の改訂や大学入学共通テストにおける「情報I」の出題は大きな負担となっています。加えて、観点別学習状況の評価や、GIGA スクール構想による端末やネットワークの管理などの雑務も強いられ、業務が膨大になっている方が多いのではないでしょうか。中には学校事情により他教科と兼任したり、臨時免許で指導したりする方などさらに厳しい状況下の先生方もいらっしゃいます。
 このような状況の中、既に「情報I」の指導をしている高校ではどのような取組を行い、また、令和 5 年度から「情報I」の指導が始まる高校では、どのような準備を進めたでしょうか。

 情報社会の進展が私たちの生活や産業を大きく変えてきていることを考えれば、高校において教科「情報」をきちんと指導することは当然であり、「情報I」が大学入学共通テストの出題科目となったことは、共通教科「情報」で 学習する内容が大学においても全ての学生が身につけるべき教養と考えられるようになったことに他なりません。
 私たち教員には教科指導力を高めることが常に求められます。校務で忙しいとか、他教科との兼任や臨時免許だからと言い訳をして情報科の指導を疎かにしては、授業を受ける生徒が不利益を被ることにもなります。どんなに大変な状況にあっても、私たちは研鑽を積む必要があるのです。

 令和4年度に「情報I」を指導して課題を感じている方は多いはずです。初めて計画した授業を行い反省した段階ですから、PDCA サイクルを回し続けながら令和5年度以降、改善した授業を行っていくことになります。「情報I」の指導は始まったばかりで授業にはまだまだ改善すべきところが多いはずです。思考・判断・表現する活動 を取り入れた授業によって一人でも多くの生徒が興味を持って主体的に学習に取り組んで知識を身に付けるようにするために、常に授業の工夫・改善に努めることこそが私たちに求められる姿勢です。
 以上のことから、よりよい授業を目指す先生方を支援するために、本会の今年度の研究テーマを次のとおりとします。

 「情報I」指導内容と方法の工夫・改善(面白い、わかる授業を目指して)


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Last-modified: 2023-05-14 (日) 09:01:55