『情報科における問題解決型授業の現状と可能性』
   北海道高等学校教育研究会情報部会
   問題解決型授業(PBL)ワーキンググループ
1.はじめに
 平成17年度に教科「情報」が設置され、5年の歳月
が流れた。今、新たな学習指導要領が公示され、科目改
変に向けた対応を迫られようとしている。
 新旧学習指導要領を比較すると、何れにも頻出するキ
ーワードがいくつか見られる。中でも『問題解決』とい
うキーワードは、表現に違いはあるが、現行学習指導要
領における「情報A」「情報B」「情報C」それぞれの
科目において言及されている。さらに、新学習指導要領
における「情報の科学」「社会と情報」の両科目におい
ては、双方で学習内容として取り入れられるに至ってい
る。
 広義において、人間の全ての活動は『問題解決』であ
るといえるだろう。つまり、学習活動の全てが『問題解
決』であるともいえる。他方、狭義において、とりわけ
教科「情報」における『問題解決』とは具体的に何を指
しているのか、授業ではどのような学習活動を行うべき
なのか、これらは曖昧で明確になっていないのが現状で
ある。
 本研究の目的は主に、教科「情報」において身につけ
るべき『問題解決』を具体的な学習活動として体系化し、
教科「情報」に携わる教員にとって、有用なデータベー
スを構築することにある。
 体系化の具体的な手法として、まず『問題解決』に関
する定義を学習指導要領から解読し、『問題解決』の学
習領域を明確化した。さらに「問題解決型学習」の分類
に向けて「問題解決の基本的な手法」から3つのカテゴ
リーを設定した。この分類は、学習活動タイプを明確化
するだけではなく、現状の「問題解決型授業」における
問題点や不足を明確化する目的がある。
 次に、分類の対象となる『問題解決』に関する具体的
な学習活動の収集を行った。実際に各校で行われている
授業について、ネットアンケートを活用して調査を行う
と同時に、教科書等の教材から「問題解決型授業」に該
当するものを抽出し、より多くの学習活動を収集するよ
う留意した。
 これらから読み取れる「問題解決型学習」に関する傾
向や問題点等から、「問題解決型学習」の今後の方向性
や将来性を見出し、教科「情報」における授業の一助と
したい。
 今回、情報部会では本研究に向けて、問題解決型授業
(PBL)ワーキンググループを発足し、研究紀要を協
同執筆することとした。PBLとはProblem-based
learningの略で、具体的な課題の解決に立脚しながら学
習を進める方法を指す。元来、PBLは方法論的な学習
活動を対象とすることが多いが、それに固執することな
く、様々なアプローチから問題解決型授業を追求してい
きたい。


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Last-modified: 2023-03-28 (火) 21:32:53